顎骨切り・骨削り
顎骨切り(下顎骨水平骨切り術)
顎骨切り(下顎骨水平骨切り術)とは、長い顎、しゃくれた顎を、下顎骨を水平に骨切りすることによって形を整える手術です。顎削りだけでは変化が不十分なことが多く、当院ではほぼ全例で骨切りを行い、最後に削りを行い、調整を加えます。
当院で行っている切除線を説明すると、左右の下顎切痕と呼ばれる陥凹部から、オトガイ先端の突出部、3点を直線でを結ぶ線で下顎骨を切ることで、顎を短くするだけでなく顎先からフェイスラインにかけての輪郭を、細くすることができます。 下顎骨の最大切除幅は6㎜から最大10㎜程度で、通常ブーメラン型に切除を行います。手術前の下顎骨に非対称があれば、左右で差をつけて切断することで、下顎骨の形状を左右対称に整えることが可能です。また、オトガイ先端が飛び出ている、いわゆるしゃくれ顎の場合には、オトガイ先端を削ることでEラインを整えることが可能です。
顎骨切りはこういった方に向いています
- 長い顎を短縮したい方
- 太い顎を尖らせたい方
- しゃくれた顎を治して引っ込めたい方
理想的な下顎骨とは?
- 一般的に理想な顎とは、横顔を見た際に鼻先端と上口唇を結ぶ直線をEラインと呼び、オトガイ先端が直線状に並べば理想的とされています。しゃくれている場合は、オトガイ先端を削ることで修正します。
- また左右に広く張り出した下顎骨は、下顎骨水平骨切り術で、シャープなラインを造ることが出来ます。標準的な下顎骨の場合、基準線とフェイスラインの距離は最大4㎜程度ですが、実際に骨切りを受けられた患者様の平均値は7.5㎜程度切除できています。
顎削りと下顎骨骨切りの違い
顎削りとは、下顎骨先端のおとがいの形状を整えるために、電動のヤスリで削る方法です。
しゃくれ顎を整えたり、顎を短くすることもできますが、手術の範囲が骨切りよりも大幅に狭く、あまり変化は期待できません。
あまり短くすると、顎先の横幅が広く角ばってしまいます。
下顎骨骨切りの注意点
顔面の骨切り全般で重要になるのは、出血のコントロールです。顔は体の中で一番血流が豊富で、血管が網の目状に走行しています。
その点骨切り術は、血管の走行がほとんどない骨膜下を剥離するので、動脈損傷のriskはほとんどありません。
唯一、骨切り後の骨の断端からの出血は、ボーンワックスで止血を行い、腫れの軽減もかねてドレーンと呼ばれる吸引チューブを翌日以降まで留置します。
骨切りの際には、重要な神経を損傷しないようにすることも重要です。下顎骨骨切りでは、手術する範囲におとがい神経が出てきますので傷つけないよう細心の注意を払い、骨切りをおこないます。
術後圧迫の必要性と効果
骨切り術後は、ドレーンを留置するとともに、フェイスバンテージと呼ばれるサポーターで圧迫を行います。
適切な術後圧迫を行うことで、出血や腫れを軽減させ、たるみ改善が期待できます。圧迫を行っていただく期間や、方法は患者様によって異なってきますので、医師の指示をお守りください。
顎削りの他院修正
他院で顎削り術を受けられ、修正のご相談で多いのは、手術前後でほとんど変化がなかった、もう少し削れるのか?といったご相談です。外観上の変化を出すためには、5~6mmの骨切りが必要で、削りだけではほとんど変わりません。オトガイ神経の損傷を恐れたために、小切開で骨の小切除にとどめているクリニックも多いと聞きます。
当院では、効果を実感していただくために切除して骨片を、本人に確認していただいています。
オトガイ(顎削り)からの修正
顎削りとは、オトガイ先端を短く、とがらせるように、下顎骨を削る手術です。
下顎骨水平骨切り術と比べて、剥離範囲が狭く出血が少ないため、腫れが少ないのが特徴ですが、オトガイ神経からエラ寄りは触らないため、オトガイ先端が太くなりやすく下顎骨側面にV字の出っ張りが残ります。
修正としては、オトガイ先端は控えめに、下顎骨側面を中心に骨切りを行います。
中抜き法からの修正
中抜き法は、ダルマ落としの要領で下顎骨の一部を切り取り、先端を再度固定する方法です。
おとがい先端を前方にずらし再度固定することで、オトガイの後退を改善します。半面骨切り量が少なく、下顔面の変化が乏しくなります。
修正としてはVカット法言って、下顎骨側目のみを切り落とし、下あごを細くする手術を行います。
治療の流れ
- 1.カウンセリング
- 患者様の希望の輪郭をお聞きして最適な手術方法をご提案します。
頬、下顎の脂肪吸引や、エラボトックスなど、他の施術も併せてご提案させていただくこともあります。 - 2.検査
- 提携クリニックで、胸部正面、頭蓋骨の2方向からのレントゲン検査を行います。
レントゲンデータを用いて、顔面骨の左右差、センターのずれが無いか、骨切りできる幅の測定を行います。 - 3.麻酔
- 骨切り術は全身麻酔を行います。術後の麻酔からの回復が早くなるように、従来のガス麻酔ではなく、TIVAと呼ばれる注射タイプの麻酔薬を使って全身麻酔を行います。 手術中は、生体モニターで、心拍数、血圧、換気量を測定し安全に麻酔を行います。
- 4.手術
- 下顎の粘膜を口腔内から切開し、骨膜の下を剥離します。その際おとがい神経を傷つけないようにしながら剥離を行います。
左右の下顎切痕と呼ばれる下顎角の近くにあるくぼみと、オトガイ先端を結ぶようにデザインを行い、骨切りを行います。
止血を行い、ドレーンチューブを留置し、傷を縫合します。 - 5.手術終了~帰宅
- 麻酔からの覚醒後、リカバリールームにて数時間休んでいただきます。
痛みは鎮痛剤を使いますので、帰宅時には自制内に収まることがほとんどです。歩行が可能になり、覚醒が確認できましたら帰宅していただきます。
手術当日は、Drの連絡先をお知らせしますので、ご安心ください。 - 6.手術翌日
- 午前中に来院いただき、リカバリールームにて点滴を行います。
抗生剤、止血剤、鎮痛剤などの投与し、出血が少なくなったのを確認してドレーンチューブを抜去します。 - 7.術後7日~14日
- 口腔内とドレーンの部分の抜糸を行います。
おとがい神経が損傷していなくても、顎先端の感覚は鈍いですが、次第に改善しますのでご安心ください。 - 8.術後1か月検診
- 下顎骨が小さくなったことで、下あごや頬にたるみを生じます。改善目的に、脂肪溶解や腫れ改善効果のあるアルフォコリン注射、ケナコルト注射のアフターケアがスタートします。
2週間感覚で3、無料で行っています。 - 9.術後3か月検診
- 腫れや固さ、感覚がほぼ正常化する時期です。骨切りによる皮膚のたるみもほぼ消失してきています。
手術方法
- 両側切除法
- オトガイ部が左右に広くて大きな方に適応です。
おとがい先端を少量もしくは、ほとんど切らずに下顎骨の両サイドだけを切る手術です。
下顎骨の初回手術の場合、この手術の適応になることはほとんどありませんが、中抜き法や顎削りで顎先端のみ削っている場合には、適応になることが多い手術です。
また、エラの骨切りと下顎骨水平骨切りを組み合わせて、正面から見た顎の輪郭をV字に近づけることも可能です。
- 中抜き切除法
- オトガイ部が縦に非常に長い方に適応です。
顎削りは切除量が多くなると横に広い四角の輪郭になるために、先端部を残すことでシャープな形にすることが出来ます。オトガイ部を水平に2回骨切りして中部を除去し、先端部をワイヤーまたはプレートで固定する手術です。
顎削りは、顔が小さくしたい、顎を小さくしたい方には最適な手術です。脂肪吸引やスレッドリフトなどで、これらの悩みが改善することはありません。また下顎骨骨切りは他の骨切りと比べて出血のリスクが少なく、安全な手術ですが、骨切り量、切除デザインによって、変化の程度や、満足度は大きく変わります。
コンプレックスの下顎を治したい方、他院にて顎の手術をしたが、あまり変化が出ずに修正したい方は、当院にご相談ください。
手術時間 | 手術後3~4時間程度で当日帰宅可能です。 入院は不要ですが、ご遠方の方はお近くのホテルにお泊まり下さい。翌日朝から検診でご来院頂きます。 |
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手術費用 | 960,000円(全身麻酔代込) 他の手術費用一覧はこちら |
術前検査 | 血液検査(HIV検査含む)、心電図、頭部レントゲン、胸部レントゲン、歯列パノラマ |
備考 |
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<施術のリスク:> 感染。血液貯留。顎や口唇・歯茎などの知覚の麻痺・痺れ。皮膚のたるみ等が生じる。
顎が丸くなりシャープさに欠ける。左右差。顎の違和感。腫れ。浮腫み。内出血。話辛さ。なども生じる場合があります。最終仕上がりには時間を要する手術となります。
下顎骨骨切りと合わせて行うお勧めの手術
エラ削りや、下顎骨骨切り術の手術後に、生じるのがタルミの問題です。下顎骨骨切り術は、下顎骨をブーメラン型に切除することで、顎下やマリオネットラインあたりの頬にタルミが出ます。
当院のアフターケアでたるみ軽減目的に脂肪溶解注射を行っていますが、効果には個人差があります。皮膚に弾力性が少なく、たるみが出やすい方、脂肪が多く、たるみが多くなりそうな方は、以下の治療を併せて行うことをお勧めします。
頬、顎下脂肪吸引
下顎骨骨切りと同時に手術ができ、効果が実感しやすい手術です。耳の付け根に3㎜程度の吸引孔を作成し、皮下脂肪を吸引します。 手術の麻酔は、静脈麻酔や局所麻酔か静脈麻酔ですが、全身麻酔中に行うことで痛みなく行えます。
下顎骨骨切り単独で行った場合と、脂肪吸引も同時に行った場合とを比較しても、ダウンタイムの違いはほとんどありません。
脂肪吸引の際に、真皮やSMASの表面に微細な傷を作ることで、治癒の過程で拘縮がおきたるみが少なくなる効果があります。
傷口は左右の耳の前2か所に3㎜程度の吸引孔を作成します。(場合によっては、顎先に1か所追加します)
手術時間は40~60分です。フェイスバンテージを使って2~3日間、術後圧迫を行います
スレッドリフト(糸リフト)顎下
スレッドリフト、いわゆる糸リフトを使って顎下のたるみを耳の後方に向けて引っ張る、切らないリフトです。耳介のやや後ろ側を糸リフトの支点として顎下中央に向けてスレッドを刺入します。
顎下の脂肪が多い場合、スレッドのコグがかかりにくく、糸が緩みやすいため、脂肪吸引の併用をお勧めします。
手術時間30分くらいです。耳介後部の針孔が陥凹しますが、数か月で改善します。
フェイスリフト
フェイスリフトはメスを入れてたるみを切り取る手術になります。傷は耳の付け根にメスを入れて広範囲に剥離をし、皮膚のタルミと皮膚表層の筋肉SMASを切除します。
一番効果の得られる手術ですが、ダウンタイムの長い手術です。頬のタルミや脂肪が非常に多い方、40代以上で皮膚の弾力性が少ない方が下顎骨骨切りや、エラ骨切りをされる場合が適応になります。
手術時間4時間くらいです。