顎ヒアルロン酸注入とは、ヒアルロン酸を顎(あご)の部分に注入する美容医療の施術のことを指します。主に、フェイスラインを整えたり、横顔のバランスを美しく見せたりする目的で行われます。
ヒアルロン酸はもともと体内に存在する成分で、高い保水力が特徴です。注入することで顎先にボリュームや高さを出し、輪郭をシャープに見せたり、Eライン(鼻先・唇・顎を結ぶライン)を整える効果が期待できます。施術時間は短く、ダウンタイムも比較的少ないため、人気の高いプチ整形の一つです。
日本人は、下顎骨が小さい人も多く、顎先が後退していたり、相対的に出っ歯に見える割合が多いといわれます。
顎プロテーゼや下顎骨中抜き術などの外科的治療法もありますが、ヒアルロン酸やレディエッセの注入法であれば、10分程度の治療で顎のコンプレックスを改善することが可能です。
また、ヒアルロン酸と同じく、顎プチ整形でよく使われるレディエッセは、骨膜上に注入することで、より長い持続期間を誇る注入物です。
ヒアルロン酸は徐々に体内に吸収されるため、効果は半年から1年程度持続しますが、レディエッセは吸収とともにコラーゲンに変わります。永久的な変化ではないため、「まずは試してみたい」「手術は怖い」という方にも選ばれやすい施術です。使用する注入物の種類や量、医師の技術によって仕上がりが大きく左右されるため、信頼できるクリニックで相談することが大切です。
顎ヒアルロン酸、レディエッセ注入は、こういった方に向いています。
- E(エステティック)ラインを、簡単にととのえたい
- 後退している顎先を前に出したい
- 顎先をとがらせたい
顎の理想サイズの話の際によく取り上げられるのは、 E(エステティック)ラインと呼ばれるものです。横顔を見たときに鼻尖先端-上口唇先端、顎先が一直線上に並んでいるのを理想とするものです。
鼻尖が低かったり、上あごの歯が前に出ていたり、オトガイ(顎先)が引っ込んでいるなど、日本人でEラインがパーフェクトな方はあまり多くありません。
それぞれに治療法はありますが、顎先を前に出すのが一番簡単で効果的な治療法です。
横顔はご自身ではあまり気になりませんが、80%の女性が他人の横顔が気になると答えています。 比較的簡単に治療できる顎注入法で輪郭を変えてみませんか?
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Before
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After
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顎へのヒアルロン酸、レディエッセ注入は、専用の極細の針や鈍針(カニューレ)を使用して、ヒアルロン酸製剤を顎の骨の上や皮下に丁寧に注入する施術です。患者様一人ひとりの顔立ちや理想のラインに合わせて、注入量や位置を調整しながら立体的なデザインを行います。
カニューレを使用することで内出血や腫れのリスクを抑えつつ、なめらかな仕上がりを目指します。顎先からフェイスラインにかけて自然な形でボリュームを出すことが可能です。
施術時間は約10〜20分程度と短く、施術後はすぐにメイクも可能なため、気軽に受けられる人気の輪郭形成治療です。仕上がりはその場で確認でき、必要に応じて微調整を行いながら理想のラインを作り上げていきます。
顎が大きく後退している場合、必要な注入物の量は多くなります。
鼻であれば1㏄程度で足りますが、顎の場合2~3㏄程度がお勧めです。
注入後に周囲に流れてしまうのを防ぐため、1㏄ずつ数週間の間隔での注射がお勧めです。
当院で使用するヒアルロン酸、レディエッセは、の日本の厚生労働省の認可に相当する、
ヨーロッパのCEマークや、韓国のKFDAの認証済の注入物を使っています。クレヴィエル・コントアは当院で使用するヒアルロン酸の中でも一番硬いのが特徴で、顎先や鼻の高さを出すのに最適であり、骨と同じ成分をもつレディエッセは、骨近くに注入することで吸収されにくくなり持続期間が長くなる特徴があります。
クレヴィエル・コントアは、顎や鼻形成に最適な硬さと弾性を持つ高密度ヒアルロン酸です。他のヒアルロン酸よりも架橋材を少なくしヒアルロン酸粒子を増やして高密度にした結果、他のヒアルロン酸を比べて流れにくく、持ち上げる力の強いヒアルロン酸です。
当院で使用しているヒアルロン酸の中では、硬いヒアルロン酸になります。

粒子が大きく、硬く触れる可能性があるため、骨膜上や厚い皮下への注入に最適なヒアルロン酸です。局所麻酔薬のキシロカインを含有しているため、注入の際の痛みが少なく、持続期間は12~18か月になります。
レディエッセはヒアルロン酸と違い、ハイドロキシアパタイトというカルシウムベースの粒子を利用した皮膚充填剤です。歯や、骨と同じ成分のため、美容外科以外でも整形外科、耳鼻咽喉科、歯科等でも医療行為で使われている安全な物質です。患者様、治療部位によっても違いますが、約12~18カ月、長い人で2年持続します。
また製品内容に変更があり、局所麻酔薬キシロカイン含有タイプに変更になりました。

レディエッセは、アレルギーの報告はほとんどありません。レディエッセは一部の皮膚充填剤のように治療前のアレルギーテストを必要とせず、様々な研究により非常に効果的で安全であることが証明されています。また、レディエッセは歯や骨を形成する成分「カルシウムハイドロキシアパタイト」が主成分の注入剤で、鼻・アゴなどに注入する際、骨膜近くに注入すると骨様に硬く、通常よりも長く持続する性質があります。
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ヒアルロン酸注入 | レディエッセ注入 | 顎プロテーゼ | |
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顎を前に出す効果 | ○ | ○ | ◎ |
持続期間 | ○ | △ | 永久的 |
溶解ができるか | ○ | × | × |
傷の大きさ | ◎ | ◎ | △ |
ダウンタイム | 1~2日 | 1~2日 | 1~2週間 |
- 手術と比べて、腫れや内出血は少ないのが特徴です。出血させにくいカニューラ針を使用しているため、目立つ内出血はほとんどありません。血管内注入のリスクも、鼻への注入と比べて低くなっています。
- クレヴィエルや、レディエッセを使用した顎形成のメリットは、細かい調整が可能といった点です。コツとしては、1回で希望の高さまで注入しようとせず、数回に分けて注入すれば、周囲に注入物が流れにくく、理想の形状に近づけやすくなります。クレヴィエルであれば、溶解することも可能です。
- 顎プロテーゼと違って顎先を極端に前に出すことはできません。無理にたくさん注入すると、元に戻ろうとする皮膚の圧迫で周囲に流れたり、かえって吸収が早まったりします。
顎ヒアルロン酸のメリットは、ダウンタイムや傷をほとんど気にすることなく顎先を作れることです。Eラインを永久的に作りたいと決めたら、脂肪注入や顎プロテーゼ、顎の中抜き法などを考えらえてはいかがでしょうか? - クレヴィエル、レディエッセともに吸収されにくい注入物ですが、永久的ではありません。
いずれも持続期間は、12~18か月といわれています。
ただし、2年程度経過してもコラーゲン被膜に包まれて残っているヒアルロン酸を超音波エコーで確認していますし、レデイエッセは吸収後、コラーゲンに変わると言われています。
ヒアルロン酸、レディエッセいずれも、注入直後のボリュームは維持できませんが、繰り返し注入することで顎先を少しずつ出すことが可能です。
また、ヒアルロン酸やレディエッセを注入したことがあっても、顎プロテーゼは可能です。
- 3、ヒアルロン酸の骨が溶ける?
- 一部本当です。骨は数か月で吸収と再生を繰り返していますが、プロテーゼや異物で強く圧迫されている部位は、骨の吸収がより進み、一方で骨の再生があまり行われないため、結果として以前よりも骨のボリュームが減る可能性があります。
ヒアルロン酸自体が、骨を溶かすわけではありません。
骨吸収が確認しやすいのは顎プロテーゼなどであり、注入量が限られ、骨への圧迫がすくないヒアルロン酸では、ほとんどわかりません。
顎ヒアルロン酸の1回あたりの注入を、1㏄程度までに抑えれば問題ないと考えます。
お腹や、太腿部から脂肪を吸引し、注射針で顎先に注入する方法です。残存率は40%程度で、ヒアルロン酸注入、レディエッセ注入と違い、一部は半永久的に残ります。
欠点としては、レディエッセよりも柔らかい注入物であるため、クレヴィエルや顎プロテーゼ程、シャープに顎先を出すことは難しいです。
シリコンプロテーゼを使って顎先をしっかりと、半永久的にだすことができる治療法です。
顎を前に出す効果は一番大きいのですが、腫れダウンタイムが10日程度と他の治療法に比べて長くなります。
デメリットとしては、オトガイの骨のが一部吸収される可能性、感染などのリスクがあります。
- まずは医師によるカウンセリングを行い、理想のフェイスラインや顎の形についてしっかりとヒアリングします。顔全体のバランスを確認し、どの程度のボリュームを出すか、どの位置に注入するかを丁寧にデザインしていきます。
- 施術前に顔の状態を確認し、注入部位にマーキングを行います。必要に応じて麻酔クリームや局所麻酔を使用し、痛みを最小限に抑える準備をします。
- 専用の細い針またはカニューレ(鈍針)を使い、デザイン通りにヒアルロン酸を丁寧に注入していきます。バランスを見ながら少しずつ調整し、自然な仕上がりを目指します。施術時間は約10〜20分程度です。
- 注入後、鏡で仕上がりを確認していただきます。必要があれば微調整を行い、最終的な仕上がりを整えます。注入2時間後以降、メイク、洗顔、入浴が可能になります。注入時の軽い出血が見られた方は、当日のみ、アルコールやサウナを避けて下さい。
項目・製剤 | 費用 |
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顎ヒアルロン酸(クレヴィエル)注入 | 88,000円/1本(1cc) |
顎レディエッセ注入 | 132,000円/1本(1.5cc) |
2回目以降の手技料、最長6ヶ月の保管料 | 無料 |
備考 | 局所麻酔クリーム、局所麻酔 |
顎ヒアルロン酸注射のダウンタイム目安
【直後〜当日】
腫れ・むくみ:軽度。特に1〜2日目に感じやすい。
赤み・内出血:針を刺した部分に出ることがある(メイクで隠せる程度が多い)。
痛み・違和感:軽い鈍痛や「押されるような違和感」が数日続くことも。
【1〜3日後】
内出血が出た場合は、この期間に紫っぽくなり目立つことも。
顎を触ると硬さを感じることがあるが、徐々に馴染む。
【1週間後】
大体の腫れ・内出血は落ち着いてくる。
形が安定し、違和感も減ってくる時期。
<施術のリスク:>
感染。アレルギー。皮膚の壊死。痺れ。注入部の凹凸。しこり。腫れや浮腫み。等が生じる場合があります。
◆ ダウンタイム中の注意点
強く触ったり、マッサージはNG(ヒアルロン酸が動く可能性)
長時間の入浴・サウナ・激しい運動は翌日以降がおすすめ(腫れ悪化予防)
飲酒は控えめに(血行が良くなり内出血が悪化する可能性)
メイク・洗顔は当日からOKなことが多いが、優しく行う
血管内に注入物が入り、血管をふさいでしまう結果、皮膚壊死するなどの合併症が報告されています。まず、塞栓自体のリスクを下げるために、カニューラ針の使用、あまり強い圧で注入しない(動脈注入のリスク下げるため)などを行い、注入後に肌の色が白いまま戻らない、拍動性の強い痛みがある場合は必ず申告をお願いします。
早期に治療すれは、後遺症なく治すことも可能です。 顎先は、他の部位よりも血管塞栓のリスクは低いといわれています。
Q.注入時の痛みはありますか?腫れはどうでしょうか?
A.注入の際には、麻酔テープや麻酔クリーム(いずれも別途費用必要)を使って、針を刺す際の痛みを少なくする方法をお勧めしています。また注入の際には局所麻酔を使いますので、痛みはあまりありません。注入物の量が多いと、鈍痛が出ることがありますが、数時間でなおります。
Q.持続期間はどのくらいでしょうか?
A.クレヴィエル・コントアは、ヒアルロン酸の中でも持続期間が長く2年程度持続します。
またある程度まとまった量を注入することで、ヒアルロン酸周囲に被膜形成が起こり、より長期間持続を期待できます。
またレディエッセは、骨と同じカルシウム(ハイドロキシアパタイト)が主成分であり、オトガイ先端の骨膜近くに注入することで、骨がレディエッセを取り込み、1年から2年といわれている持続期間が、もっと長くなります。
Q.顎注入に使うクレヴィエルや、レディエッセはほかの部位にも使うことは可能ですか?
A.クレヴィエルは輪郭形成用のヒアルロン酸で注入部位の高さを出し、周囲に流れにくいという特徴があります。一方で、しわ治療に使用した場合、しこりができやすいというデメリットがあるため、鼻や顎専用と考えていただいた方が良いです。
一方レディエッセは粒子が細かいため、ほうれい線、ゴルゴライン、マリオネットラインなどのシワ治療にも使用可能です。
Q.以前、顎にヒアルロン酸注入を行いましたが、顎プロテーゼを入れることは可能ですか?
A.はい、可能です。顎プロテーゼ手術を行う際ポケットの作成を行いますが、その際に注入されたヒアルロン酸のほとんどが流出します。少量のヒアルロン酸が残っても、顎のプロテーゼの形状にはほとんど影響はありません。
事前にヒアルロニダーゼによる溶解が必要という医師もいますが、ヒアルロニダーゼだけで溶解しようとすると、数回の注射が必要となります。
Q.顎ヒアルロン酸で顎の骨が溶けるという話を聞きました。本当ですか?
A.「顎ヒアルロン酸注入で骨が溶ける(骨吸収が起こる)」という話は、一部の美容医療外科がSNS等で発信してますが、現時点では「ヒアルロン酸注入そのものが直接、骨を溶かす原因になる」と断定できるものはありません。
長期的な圧迫による骨吸収の可能性:
フィラー(ヒアルロン酸など)が骨膜のすぐ上に大量に長期間存在すると、局所的な圧迫によって骨が薄くなる(骨吸収)可能性が指摘されています。
これはヒアルロン酸特有というより、「異物」や「圧力」が原因となる現象で、長期間同じ場所に大量に入れ続けた場合のリスクというニュアンスです。
顎プロテーゼや豊胸術後の被膜拘縮症例では、自身も確認しています。
海外論文やケースレポートでも、ごく稀なケースとして「フィラー長期注入部位の骨吸収」が報告されているものはありますが、症例数は非常に少ないです。
実際の危険性は?
通常の美容クリニックで適量を注入する場合、 すぐに顎の骨が溶けるようなリスクは極めて低いと考えられています。
ヒアルロン酸は体内で 1〜2年程度で自然に分解吸収される物質のため、永久に残るものではありません。
ただし、頻繁に大量のヒアルロン酸を 骨膜上に繰り返し入れ続ける場合、長期的な影響(骨への負担)については、慎重な判断が必要です。
Q.顎ヒアルロン酸を注入しすぎて顎先が不自然に尖った例があると効きました。本当ですか?
A.普通に注入していて顎がとがりすぎることはほとんどありません。顎先の皮膚が薄く、伸びやすい状態で、皮下に大量にヒアルロン酸を注入した可能性があります。
顎の骨膜上に注入する場合、厚い筋層や皮下脂肪層が皮膚との間にはあるので、不自然に顎先が尖ることはありません。