【軟骨ピアス】インナーコンク・アウターコンクの正しい開け方と痛み・腫れの注意点【医師監修】
病院で開けるインナーコンク・アウターコンク(軟骨ピアス)の違い・痛み・位置を医師が解説
耳の軟骨ピアスの中でも、特に個性を演出しやすい部位として人気を集めているのが「コンク(Conch)」です。コンクは耳のくぼんだ平らな部分を指し、開ける位置によって「インナーコンク」と「アウターコンク」の2種類に分けられます。
大阪のコムロ美容外科では、解剖学的な知識に基づいた安全な施術はもちろん、患者様一人ひとりの耳の形やライフスタイルに合わせた、最適なピアッシングをご提案します。

インナーコンクとアウターコンクの違いとは?
コンクは、開ける位置によって呼び名と印象が異なります。
インナーコンク (Inner Conch)
インナーコンクは、耳の穴(耳甲介腔)の内側にある、広くて深いくぼみの部分に開けるピアスです。
耳の奥まった位置にあるため、正面から見ると耳の中にジュエリーが浮かんでいるように見え、存在感がありながらも上品な印象を与えます。
大きめのモチーフやジュエルが映える部位で、シンプルなデザインでもしっかりと個性を演出できます。
アウターコンク (Outer Conch)
アウターコンクは、耳の縁(耳輪)とその内側にある軟骨の隆起(対耳輪)の間の平らな部分に開けるピアスです。
インナーコンクよりも外側(上部)に位置し、耳の形に沿って複数のピアスを並べたり、リングタイプを装着するなどアレンジの幅が広いのが特徴です。
1つでも存在感がありますが、他の部位と組み合わせることで耳全体のコーディネートを楽しめます。
施術方法の種類:ニードルとピアッサーの比較
医療用ニードル
当院が推奨する方法です。滅菌された医療用の針を使用し、軟骨の組織に穴を開けます。局所麻酔を併用しますので、痛みもほとんどありません。
メリット: 組織へのダメージが最小限で、治りが比較的早い傾向にあります。軟骨が割れるリスクが低く、衛生面でも安全です。また、狙った位置や角度へ正確に開けることができます。
デメリット: ピアッサーに比べると、施術にわずかな時間がかかります(とはいえ数秒です)。
ピアッサー(ピアッシングガン)
一般的に市販されている、瞬間的にピアスを押し込む器具です。
メリット: 瞬時に終わるため手軽に感じられます。
デメリット: コンクのような厚い軟骨部には絶対にお勧めできません。ピアッサーは組織を「押しつぶす」形で穴を開けるため、軟骨に過度な負担がかかり、軟骨が砕けたり、炎症やトラブルのリスクが非常に高くなります。コンクはいずれも耳の中央部に位置するため、耳たぶ用のピアッサーは届きません。
安全で美しい仕上がりを実現するため、コムロ美容外科ではすべての軟骨ピアス(コンクを含む)の施術に、滅菌済みの医療用ニードルを使用しています。
インナーコンク・アウターコンクの痛みの程度とその理由
痛みの感じ方には個人差がありますが、コンクは軟骨ピアスの中でも比較的「痛みを感じやすい」部位と言われています。
理由: コンクは、耳の他の軟骨部位(ヘリックスなど)と比較して、貫通させる軟骨が厚く、硬いためです。また、神経の分布も影響します。
インナーとアウターの比較: 一般的に、インナーコンクの方がアウターコンクよりも軟骨が厚い傾向にあるため、インナーコンクの方が痛みを強く感じることがあります。ただし、ニードルでの施術は一瞬で終わります。また、当院では痛みを最小限に抑えるために局所麻酔を使いますので、痛みが不安な方もご安心ください。
施術前の準備と注意点
安全なピアッシングは、施術前の準備とカウンセリングから始まります。不安や疑問を解消し、安心して施術に臨みましょう。
カウンセリングで確認すること
- アレルギーの確認: 特に金属アレルギーの有無は重要です。チタンや医療用ステンレスなど、アレルギー対応のファーストピアスをご提案します。
- 体質・既往歴の確認: 血液をサラサラにする薬を飲んでいないかなど、安全に施術できるかを判断します。
- 耳の形状の確認: 耳の形、軟骨の厚み、血管の走行は人それぞれです。解剖学的に安全で、かつ希望のデザインが実現可能な位置を医師が判断します。
- リスクの説明: 施術後の痛み、腫れ、感染、肉芽(にくげ)などのリスクと、その対処法について事前に詳しくご説明します。
予約時に確認すべきポイント
- 料金体系: 施術費用に、診察料、麻酔代、ファーストピアス代、アフターケアの薬剤代が含まれているか。
- 施術方法: ニードル使用であること(軟骨の場合)。
- ファーストピアスの種類: 素材(チタン、医療用ステンレス)やデザインの選択肢。
- 麻酔の有無: 局所麻酔や笑気麻酔のオプションがあるか。
- 当日の注意事項: 飲酒の制限、体調管理について。
インナーコンク、アウターコンクの施術の費用
1か所 13,200円(ファーストピアス、局所麻酔、消毒薬、内服薬などの費用込み)
初心者が知っておくべき施術の条件
初めて軟骨ピアスを開ける方は、特に以下の点にご注意ください。
- 体調管理: 睡眠不足、風邪、疲労が溜まっている状態での施術は、痛みを強く感じたり、治癒が遅れたりする原因になります。万全の体調で臨みましょう。
- 年齢: 未成年の方が施術を受ける場合は、必ず保護者の同意書が必要です。
- 施術後の予定: 施術当日は飲酒や激しい運動は避けてください。また、施術後数日間は、耳に負担がかからないよう、比較的ゆったりとしたスケジュールを組むことをお勧めします。
- アレルギー・体質の申告: 金属アレルギーやケロイド体質の方は、カウンセリング時に必ず医師にお伝えください。
インナーコンク・アウターコンクの可愛い位置とは?
コンクは、耳のコーディネートの「主役」にも「名脇役」にもなれる部位です。ご自身の耳の形や、他のピアスとのバランスを考えて位置を決めるのが成功の鍵です。
トラガス・ヘリックスとの組み合わせ
トラガス(耳珠)との組み合わせ: 耳の穴の手前にある三角軟骨「トラガス」と、耳の奥にある「インナーコンク」は、距離が離れているため非常にバランスが取りやすい組み合わせです。両方にピアスがあることで、耳全体のコーディネートに立体感と深みが生まれます。
ヘリックス(耳輪)との組み合わせ: 耳の縁である「ヘリックス」と「アウターコンク」は、近い位置関係にあります。あえて距離を詰めて連続性を持たせたり、アウターコンクを主役にしてヘリックスは小ぶりにするなど、デザインの幅が広がります。インナーコンクとヘリックスも、定番の人気の組み合わせです。
人気のモチーフとデザイン
ファーストピアス: 施術直後は、炎症を防ぎ、引っかかりにくいシンプルなデザインが基本です。医療用のストレートバーベル(両端がボール)やラブレットスタッド(片側が平ら)で、ジュエル付きのものなどが選ばれます。
安定後:
- インナーコンク: 面積が広いため、存在感のある大きめのジュエルや、花・星・ハートといったモチーフデザインが人気です。
- アウターコンク: 小さなスタッドを2~3個並べて「星座」のように見せたり、安定すればリング(フープ)ピアスを通して洗練された印象にすることも可能です。
ダサくならないための位置選び
- 耳の形を活かす: 耳のくぼみの深さや、アウターコンク部分の広さは人によって異なります。カウンセリングで医師と相談し、ご自身の耳が最も美しく見える「黄金バランス」の位置を探しましょう。
- 全体のバランスを考慮する: 他に開いているピアスの位置との距離感を大切に。「三角形」の配置を意識すると、まとまりやすいと言われています。
- 将来のスタイルを相談する: 「将来的にはリングにしたい」という希望があれば、アウターコンクでも縁からの距離を計算して開ける必要があります。インナーコンクでリングを通したい場合は、かなり特殊な位置決めが必要です。ご希望のスタイルを事前にご相談ください。
施術中・施術後の痛みの和らげ方
軟骨ピアスの痛みは不安なものですが、医療機関では痛みを最小限に抑えるための様々な対策をご用意しています。
局所麻酔とその効果
当院では、痛みに弱い方でも安心して施術を受けていただけるよう、ボディピアス、軟骨ピアスは局所麻酔が費用に含まれます。
- 冷却:コールドパックによるクーリング:氷や保冷剤で施術部位を冷やすことで痛みを少なくする方法です。イヤーロブ(耳たぶ)ピアスなどで行います。
局所麻酔(注射)
最も効果的な方法です。ピアッシングを行う部位(針の入口と出口)に、局所麻酔薬を極細の針で注射します。注射の際にチクッとした痛みはありますが、その後のピアッシング中の痛みはほぼゼロになります。*大阪のコムロ美容外科ではご費用に含まれています。
アフターケアの具体的な手順
ピアッシングは「穴を開けて終わり」ではありません。安定するまでのアフターケアが最も重要です。
- 基本方針: 「触らない」「動かさない」「清潔に保つ」の3原則を守ってください。
- 洗浄(1日1回): 入浴時のシャワーで、施術部位を優しく洗い流します。石鹸やシャンプーが泡立った場合は、弱い水流でピアスホールに直接水が当たらないよう注意しながら、泡が残らないようしっかりすすぎます。
- 消毒: 基本的に消毒液は不要です。過度な消毒は、傷の治癒に必要な常在菌まで殺してしまい、かえって治りを遅らせる場合があります。クリニックから消毒液が処方された場合は、その指示に従ってください。
- 乾燥: 洗浄後は、清潔なガーゼやティッシュ、綿棒などで、ピアスの隙間の水分を優しく押さえるように拭き取ります。ドライヤーの冷風を短時間当てるのも効果的です。
- 禁止事項: ピアスを不必要に回したり、前後に動かしたりしないでください。せっかくできかけた皮膚を傷つけ、トラブルの原因となります。
痛みを軽減するためのアイテム
- 鎮痛剤(痛み止め): 施術当日の夜や翌日に、ズキズキとした痛み(疼痛)が出ることがあります。クリニックで処方された鎮痛剤や、市販の鎮痛剤(アセトアミノフェンやロキソプロフェンなど)を服用することで、痛みをコントロールできます。
- ドーナツ枕(円座クッション): 施術した方の耳を下にして寝ると、圧迫によって強い痛みが出たり、炎症や肉芽の原因になったりします。穴の開いたドーナツ枕や、タオルを丸めて首の後ろに置くなどして、耳が枕に当たらないよう工夫してください。
- マスク・イヤホン: マスクのゴムやイヤホンがピアスに引っかからないよう、細心の注意を払ってください。耳に負担のかからない形状のマスクを選ぶことをお勧めします。
インナーコンク・アウターコンクに関するQ&A
- Q. インナーコンク、痛みはいつまで続くの?
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痛みが続く期間には個人差がありますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 施術直後~3日間: ジンジン、ズキズキとした熱感を伴う痛みのピークです。鎮痛剤で対応可能です。
- ~1週間程度: 触ったり、圧迫したりしなければ痛みは感じなくなってきます。うっかり引っかけてしまうと強い痛みがあります。
- ~1ヶ月程度: 大きな腫れや痛みは引いてきますが、まだ不安定な時期です。
- 安定するまで(約半年~1年): 寝返りなどで圧迫すると鈍い痛みを感じることがあります。圧迫しても全く痛みがなくなれば「安定した」一つの目安となります。
アウターコンクのトラブル: よくある質問
コンク、特にアウターコンクは髪の毛やマスクが引っかかりやすく、トラブルが起こることもあります。
- Q. 赤い盛り上がり(肉芽)ができました。
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A. ピアスの圧迫やひっかけ、不衛生な状態が続くことで、ホール周辺にできる良性の腫瘍(肉芽腫)です。自己判断で触らず、すぐにクリニックを受診してください。ステロイド軟膏の塗布や、場合によっては切除などの治療が必要です。
- Q. 赤く腫れて熱を持ち、膿が出てきました。
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A. 細菌感染を起こしている可能性が高いです。直ちにクリニックを受診してください。抗生剤の内服や外用薬による治療が必要です。自己判断でピアスを外すと、穴が塞がって膿が内部に溜まり、悪化する危険があります。
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- Q. ピアスが埋まってしまいました。
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A. 腫れが強かったり、ファーストピアスのシャフト(軸)が短すぎたりすると、皮膚にピアスが埋没することがあります。早急にクリニックで適切な長さのピアスに交換する必要があります。
痛みやトラブルが起きた時の対処法
- 自己判断でピアスを外さない: トラブル時にピアスを外すと、穴がすぐに塞がり、内部に膿や炎症が残る可能性があります。
- むやみに触らない: 気になっても触ることで雑菌が入り、悪化します。
- 市販の軟膏を塗らない: 症状に合わない薬を塗ると、かえって治癒を妨げることがあります。
- すぐにクリニックに相談する: 「おかしいな」と思ったら、まずは施術を受けたクリニックにご連絡ください。早期の対応が、ホールを綺麗に保つための鍵となります。
施術にかかる時間とプロセス
当院でのピアッシングは、カウンセリングから施術終了まで、衛生管理の行き届いた環境でスムーズに行います。
- カウンセリング(問診): 医師が患者様のご希望を伺い、アレルギーや体質の確認、耳の形状を診察します。リスクやアフターケアについても詳しくご説明します。
- 位置決め(マーキング): 鏡を見ながら、ご希望の位置に専用のペンで印をつけます。ミリ単位での微調整が可能ですので、ご納得いくまでご相談ください。
- 消毒: 施術部位(耳全体)を徹底的に消毒します。
- 局所麻酔: ご希望に応じて、局所麻酔の注射または麻酔クリームを使用します。
- ピアッシング: 滅菌された医療用ニードルを使用し、マーキングした位置に正確に穴を開けます。そのままニードルに接続する形でファーストピアスを装着します。施術自体は2~3分で完了します。
- 確認・アフターケア説明: 鏡で仕上がりを確認いただき、施術後の注意事項やケア方法について再度ご説明します。必要に応じて鎮痛剤や抗生剤を処方します。
ファーストピアスの選び方
- 素材: 金属アレルギーのリスクが極めて低い「医療用チタン」または「医療用ステンレス」をお勧めしています。透明なプラスチックタイプは、2つと比較してやや感染をしやすいと言われています。
- 形状: 引っかかりにくく、洗浄しやすい「ストレートバーベル」または「ラブレットスタッド」(片側が平らで耳の裏がすっきりする)が基本です。リングタイプは、安定するまで(最低半年~1年)は避けてください。
- 太さ(ゲージ): 軟骨部は16G(約1.2mm)または14G(約1.6mm)が一般的です。
- 長さ(シャフト): 施術直後は腫れることを想定し、耳の厚みよりも2mm程度余裕のある長め(例:8mm~10mm)のシャフトを選びます。腫れが引いた後は、適切な長さに交換(ダウンサイジング)することもあります。
施術後の経過観察とトラブルシューティング
- トラブルシューティング: 万が一、強い腫れが引かない、肉芽ができた、ピアスが外れてしまったなどのトラブルが発生した場合は、すぐに当院までご連絡ください。医師が迅速かつ適切に対応いたします。
- 炎症が起こった場合のおススメ治療: 炎症が起こった場合、ピアスを外せば1週間程度で収まります。しかし、ピアスホールを維持したい場合には、シリコンチューブを2週間程度留置すれば、ホールは安定します。処置の費用が別途かかります。
インナーコンク・アウターコンクを楽しむためのヒント
ピアッシングは、ホールが安定してからが本番です。安全に配慮しながら、自分だけの耳元のおしゃれを楽しみましょう。
安全に楽しむためのケア方法
- ピアス交換の時期: ホールが安定するまでは、ファーストピアスを外さないでください。コンクの安定には最低でも6ヶ月、一般的には約1年かかります。
- 安定後のケア: ホールが安定した後も、皮脂や汚れが溜まりやすいため、入浴時にはピアスをつけたまま優しく洗浄する習慣を続けましょう。
- 圧迫への注意: 安定した後でも、長時間ヘッドフォンで圧迫したり、うつ伏せで寝たりすると、ホールに負担がかかり、炎症を起こすことがあります。
- 清潔な手で交換: セカンドピアスに交換する際は、必ず手とピアス本体を石鹸でよく洗い、清潔な状態で行ってください。
当院では、患者様が安心してピアッシングを楽しめるよう、施術からアフターフォローまで一貫してサポートいたします。インナーコンク、アウターコンクにご興味のある方は、ぜひ一度カウンセリングにお越しください。

