ニキビ治療用外用抗菌薬の比較表:効果・用法・注意点まとめ

ニキビ治療に使う薬の特徴について説明
ニキビ治療に効果のある外用薬は、保険診療で処方されます。そのため、ステージ1と、2では、保険診療と美容クリニックで行う自由診療の組み合わせ治療が効果を発揮します。
このページでは、ニキビ治療において保険診療でよく使われる内服薬と、外用薬についてご紹介します。
目次
ニキビ治療の方針
赤ニキビや黄ニキビができるステージ2以上では、クレーターやケロイドなどの肌の後遺症が残る可能性があり、炎症が起きる前に治療を始めるのが推奨されます。
ステージ1、(白ニキビ)の段階で炎症が始まる前にできるだけ早く治療を開始します。早期から毛穴の詰まりを改善し、白ニキビに効く外用薬を使用します。自由診療でのケミカルピーリングも有効です。
炎症がひどいステージ2のニキビでは外用薬からスタートし、内服の抗菌薬を併用します。自由診療では、イソトレチノイン内服薬、IPL光治療でのアクネ菌の殺菌を行います。
抗菌薬治療は、耐性菌の出現を防ぐため、「急性炎症期のみ」「中等症以上」「最長3カ月」が原則です。
ニキビ治療に使う外用薬
毛穴のつまり(コメド)に効果がある外用薬
白ニキビの塗り薬は「毛穴の詰まりの原因となる角質の蓋を取り除き、肌のターンオーバーを改善し、ニキビの原因菌を殺菌する」ことで、今ある白ニキビ、黒ニキビを治し、将来のニキビを予防する効果があります。
ニキビ治療薬(外用薬)の比較表
項目 | ディフェリンゲル (Adapalene) | ベピオゲル (Benzoyl Peroxide) | デュアック配合ゲル | エピデュオゲル |
---|---|---|---|---|
主成分 | アダパレン 0.1% | 過酸化ベンゾイル (BPO) 2.5% | クリンダマイシン 1% BPO 3% | アダパレン 0.1% BPO 2.5% |
主な作用 | 毛穴の角化異常を正常化し、白ニキビを予防 | 角質剥離+抗菌作用で毛穴詰まりを改善 | 抗菌作用+角質剥離作用で炎症抑制 | アダパレン+BPOで毛穴詰まりを強力に改善 |
白ニキビへの効果 | ◎ 特に効果的 | 〇 効果あり | 〇 効果あり | ◎ 非常に効果的 |
主な副作用 | 乾燥・皮むけ・赤み・刺激感など | 皮むけ・赤み・かぶれ等 | 乾燥・炎症・大腸炎(稀) | 皮膚刺激・乾燥・かぶれ等 |
その他の特徴 | 効果発現まで約3ヶ月、妊娠中・授乳中は使用不可 | 脱色作用あり、耐性菌リスクなし | 耐性菌リスクあり、脱色作用あり | 2剤配合で効果強いが刺激強め、妊娠中・授乳中不可 |
位置づけ | 白ニキビ治療の基本薬、予防効果も高い | ディフェリン刺激で使えない場合の選択肢 | 炎症性ニキビが混在する場合に適する | 最強クラスのニキビ治療薬、白・赤ニキビ混在時に使用 |
ディフェリンゲル
価格:1本(15g)で、3割負担(保険適用)で約550円。
ディフェリンゲルの有効成分「アダパレン」は、ビタミンA誘導体に近い作用を持ち、皮膚の角化(ターンオーバー)を正常化させる働きがあります。これにより、ニキビの初期段階である「面皰(めんぽう)」、いわゆる白ニキビや黒ニキビの原因となる毛穴の詰まりを根本から改善します。
ベピオゲル
ベピオゲルの主成分、過酸化ベンゾイルは、「殺菌」と「毛穴詰まりの改善」という2つの効果で、赤ニキビと白ニキビの両方にアプローチできるのが最大の特徴です。
デュアック配合ゲル
価格:1つ(10g)、保険適用(3割負担)で約460円。
2つの有効成分で炎症ニキビに速効性が期待できる抗生物質「クリンダマイシン」と「過酸化ベンゾイル」を配合。クリンダマイシンがニキビの原因となるアクネ菌を直接殺菌し、過酸化ベンゾイルが持つ抗菌・抗炎症作用と合わせて、特に炎症を起こした赤ニキビを早期に改善する効果が期待できます。過酸化ベンゾイルは抗生剤とは違った仕組みで殺菌効果を発揮するため、耐性菌ができにくいメリットがあります。
ニキビの始まり(毛穴の詰まり)から改善できる過酸化ベンゾイルには、古い角質を剥がれやすくするピーリング作用があります。これにより、ニキビの初期段階である毛穴の詰まり(白ニキビ・黒ニキビ)を改善し、新しいニキビができにくい肌環境へ導きます。
エピデュオゲル
価格:1つ(15g)で、保険適用(3割負担)で約720円。
2つの成分が組み合わさることで、毛穴の詰まりの改善、アクネ菌の殺菌、ピーリング作用を同時に行い、白ニキビ・黒ニキビ・赤ニキビといった、ほぼ全てのタイプのニキビに効果を発揮します。
アダパレン(ディフェリンゲルの成分):毛穴の詰まり(角化異常)を改善する作用があります。ニキビの初期段階である「微小面皰(マイクロコメド)」という目に見えない毛穴の詰まりに働きかけ、ニキビの発生そのものを防ぎます。白ニキビや黒ニキビの改善に特に効果的です。
過酸化ベンゾイル(ベピオゲルの成分):ニキビの原因となるアクネ菌に対する強い殺菌作用と、古い角質を取り除くピーリング作用があります。炎症を起こしてしまった赤ニキビの悪化を防ぎ、改善へと導きます。この成分は薬剤耐性がおこらないため、長期間使用しやすい利点もあります。
ステージ2の赤ニキビに対して使用する外用薬
赤ニキビは、アクネ菌が増殖し炎症を起こしている状態です。3種類の外用薬は、いずれも抗菌剤であり、アクネ菌を殺菌することで黄ニキビへの悪化を防ぎ、炎症の改善効果があります。
赤ニキビ治療の抗菌薬(外用薬)比較表
特徴 | ダラシンTゲル / ローション | アクアチムクリーム / ローション | ゼビアックスローション |
---|---|---|---|
主成分 | クリンダマイシン | ナジフロキサシン | オゼノキサシン |
系統 | リンコマイシン系 | ニューキノロン系 | ニューキノロン系 |
主な作用 | 細菌のタンパク質合成を阻害し、アクネ菌の増殖を抑制・殺菌する。 | 細菌のDNA複製を阻害し、アクネ菌などを殺菌する。 | 細菌のDNA複製を阻害し、アクネ菌などを殺菌する。 |
剤形 | ゲル:粘性があり、狭い範囲に留まりやすい。 ローション:液体で、背中など広範囲に塗りやすい。 |
クリーム:しっとりした使用感。 ローション:さっぱりした使用感で、頭皮などにも使いやすい。 |
ローション:粘性があり、液だれしにくく塗りやすい。 |
用法 | 1日2回 | 1日2回 | 1日1回 |
効果の特徴 | ・炎症を起こした赤ニキビ、膿を持った黄ニキビに有効。 ・長年の使用実績がある。 |
・アクネ菌やブドウ球菌など、幅広い細菌に効果を発揮する。 ・赤ニキビへの効果が高く、皮膚科学会でも推奨されている。 |
・抗菌力が非常に強いとされ、他の薬で効果が出にくい場合にも期待できる。 ・1日1回の使用で済むため、利便性が高い。 |
注意点 | ・長期使用による耐性菌のリスクがあるため、漫然とした使用は避ける。 ・白ニキビには直接的な効果はない。 |
・長期使用による耐性菌のリスクがある。 ・4週間使用しても効果が見られない場合は、使用を中止することが推奨される。 |
・耐性菌のリスクが比較的低いとされているが、長期使用は避けるべき。 ・白ニキビには効果は期待できない。 |
ニキビ治療に効果ある抗菌薬
ダラシンTゲル / ローション(価格:1本10g、保険適応〈3割負担〉で約120円)
古くからニキビ治療で使われている、信頼性の高い抗生物質の塗り薬です。ニキビの原因となるアクネ菌の増殖を抑えることで、赤ニキビの炎症や化膿を鎮めます。ゲルとローションのタイプがあります。
アクアチムクリーム / ローション(価格:1本10g、保険適応〈3割負担〉で約110円)
ニューキノロン系という種類の抗菌薬で、アクネ菌やブドウ球菌など幅広い菌に効果を発揮します。細菌のDNAの複製を阻害することで殺菌的に作用し、赤ニキビを改善します。クリームとローションのタイプがあります。
ゼビアックスローション(価格:1本10g、保険適応〈3割負担〉で約240円)
比較的新しい抗菌薬で、非常に強い殺菌作用を持つのが特徴です。他の薬が効きにくくなったニキビにも効果が期待でき、1日1回の使用で済むため利便性が高いです。とろみのあるローションタイプです。
これらの薬の共通点とポイント
- 赤ニキビに特化:これらの抗菌薬は、炎症を起こしている赤ニキビや黄ニキビに対して効果を発揮しますが、炎症のない白ニキビやニキビ跡には直接的な効果は期待できません。
- 耐性菌のリスク:どの抗菌薬も、長期間使い続けるとアクネ菌が薬に慣れてしまい、効果が出にくくなる「薬剤耐性菌」の問題があります。そのため、炎症が落ち着いたら使用を中止し、ピーリング作用のある薬(ディフェリンゲルやベピオゲルなど)に切り替えて、ニキビができにくい肌を維持する治療が一般的です。
ニキビ治療に使う内服タイプの抗菌薬
塗り薬だけでは改善が難しい場合や、炎症が強いニキビが広範囲にある場合などに、体の内側からニキビの原因にアプローチするために内服薬が処方されます。大体の場合、保険診療の適応になります。
1. 抗菌薬(抗生物質)
効果: アクネ菌を殺菌し、炎症を抑える
対象: ステージ2の炎症が強く、数が多い赤ニキビ・黄ニキビ
ニキビ治療の内服抗菌薬 比較表
特徴 | ビブラマイシン (ドキシサイクリン) |
ミノマイシン (ミノサイクリン) |
ルリッド (ロキシスロマイシン) |
---|---|---|---|
系統 | テトラサイクリン系 | テトラサイクリン系 | マクロライド系 |
主な作用 | アクネ菌のタンパク質合成を阻害し増殖抑制。炎症を抑える。 | アクネ菌のタンパク質合成を阻害し増殖抑制。優れた抗炎症作用。 | アクネ菌のタンパク質合成を阻害し増殖抑制。炎症を抑える。 |
用法 | 1日1〜2回 | 1日2回 | 1日2回 |
効果の特徴 | 第一選択薬として広く使用。副作用少なめ。皮脂腺に届きやすい。 | 強力な抗炎症作用。炎症の強いニキビに効果的。長年の使用実績あり。 | テトラサイクリン系が使えない場合の選択肢。消化器症状が比較的少ない。 |
主な副作用 | 光線過敏症、吐き気、食道炎(多めの水で服用) | めまい、吐き気、色素沈着(長期服用で皮膚・歯・爪など) | 下痢、吐き気などの消化器症状。他2剤より重い副作用は少ない傾向。 |
その他 | ガイドライン推奨度A。牛乳やカルシウム、鉄剤と併用で吸収阻害。 | ガイドライン推奨度A。副作用の頻度はやや高め。 | テトラサイクリン系アレルギーの人にも使用可能。推奨度Bだが安全性から選択される場合あり。 |
それぞれのニキビに効く抗菌薬の特徴
ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
ニキビ治療の第一選択薬として広く使用される、基本の薬です。ミノマイシンに比べて、めまいの副作用が少ないのが特徴です。日光を浴びると肌が赤くなりやすくなる「光線過敏症」に注意が必要です。
ミノマイシン(ミノサイクリン)
抗菌作用に加え、強力な抗炎症作用を持つため、炎症の強いニキビに高い効果が期待できます。効果が高い一方、めまいや長期服用による色素沈着などの副作用が他の薬より出やすい傾向があります。
ルリッド(ロキシスロマイシン)
ビブラマイシン等が副作用で使えない場合の選択肢となる薬です。他の2剤に比べて、めまいや吐き気などの副作用が比較的少ないとされています。
ニキビに効く抗菌薬の内服上の注意点
- 服用期間: いずれの薬も、薬剤耐性菌のリスクを避けるため、長くとも3ヶ月程度で一旦中止し、外用薬(塗り薬)を中心とした維持療法に切り替えるのが一般的です。
- 医師の指示を守る: 自己判断で服用を中止したり、量を変更したりしないでください。特に、症状が少し良くなったからといって途中でやめると、耐性菌が発生しやすくなります。
- 妊娠中・授乳中: テトラサイクリン系の薬剤(ビブラマイシン、ミノマイシン)は、胎児や乳児の骨・歯の発育に影響を与える可能性があるため、妊娠中・授乳中の方は通常服用できません。必ず医師に申し出てください。
その他の薬剤
イソトレチノイン(アクネトレント)【自由診療のみ】
効果
皮脂分泌の強力な抑制、角化異常の正常化。
対象
他の治療法で改善しない重症のニキビ。
ビタミンA誘導体の一種で、ニキビの主な原因(皮脂の過剰分泌、毛穴の詰まり、アクネ菌の増殖、炎症)のほぼ全てに強力に作用します。海外では他のニキビ治療では効果の出ない重症のニキビに対して使われる、「ニキビ治療の切り札」とも言える非常に効果の高い薬ですが、副作用のリスクもあるため、美容皮膚科などで医師の厳重な管理のもと、自由診療で処方されます。
主な薬剤名
当院では、アクネトレントを処方しています。
注意点
- 催奇形性があるため、服用中および服用後一定期間は妊娠・授乳・献血が絶対にできません。
- 乾燥、皮膚の敏感化、肝機能障害などの副作用があるため、定期的な診察と血液検査が必要です。
低用量ピル
当院では、低用量ピルのお取り扱いはありません。
効果
ホルモンバランスの調整。ニキビの原因となる男性ホルモン分泌を抑える効果。
対象
生理前に悪化する、成人女性の大人ニキビ。
なぜ低用量ピルが炎症性ニキビに効くのか?
ニキビ、特に思春期以降の「大人ニキビ」の大きな原因の一つに、ホルモンバランスの乱れがあります。生理前などに男性ホルモン(アンドロゲン)の働きが優位になると、皮脂腺が刺激されて皮脂が過剰に分泌されます。この過剰な皮脂が毛穴を詰まらせ、アクネ菌の栄養源となることで炎症を引き起こし、赤ニキビや黄ニキビへと発展します。
低用量ピルには女性ホルモンである「卵胞ホルモン」と「黄体ホルモン」が含まれており、これらを服用することで体内のホルモンバランスを安定させることができます。特に、ニキビ治療に用いられる一部の低用量ピルには、男性ホルモンの働きを抑制する作用があり、皮脂の過剰分泌というニキビの根本原因に直接アプローチすることができます。
ただし、効果を実感するまでには肌のターンオーバーの周期もあり、一般的に2〜3ヶ月程度の継続服用が必要です。
【ステージ別】低用量ピルのニキビへの効果
ニキビのステージ | 状態 | 低用量ピルの効果 |
---|---|---|
白ニキビ・黒ニキビ (コメド) |
毛穴に皮脂や角質が詰まった初期段階。 | ◎(特に予防効果) 皮脂の過剰分泌を抑えるため、毛穴詰まりの根本原因にアプローチし、ニキビができにくい状態に導きます。 |
赤ニキビ (炎症性ニキビ) |
白ニキビが悪化し、アクネ菌が増殖して炎症を起こした状態。 | ◎(特に改善効果) ホルモンバランスを整え、皮脂分泌を正常化させることで、炎症の悪化を防ぎ、新たな炎症性ニキビの発生を抑制します。海外の臨床試験では、低用量ピルの服用により炎症性ニキビが約60%減少したという報告もあります。 |
黄ニキビ (化膿性ニキビ) |
赤ニキビがさらに悪化し、膿が溜まった状態。 | ○(悪化の抑制) 新たなニキビの発生や炎症の悪化を防ぐことで、結果的に黄ニキビへの進行を食い止める効果が期待できます。 |
ニキビ跡 (色素沈着・クレーター) |
炎症によって皮膚組織がダメージを受け、シミや凹みが残った状態。 | ×(効果なし) 低用量ピルは、できてしまった色素沈着を薄くしたり、クレーターを修復したりする作用はありません。ニキビ跡の治療には、レーザー治療やピーリングなどが別途必要になります。 |
低用量ピルのニキビ治療での効果
海外の報告によると、ピルによるニキビ改善率は約60~70%といわれています。自由診療での治療になりますが、女性で生理の前後でニキビがひどくなる場合、他の治療が効果が出にくい場合は、試してみる価値があります。
ニキビ治療に使える低用量ピル
ニキビ治療(大人ニキビ)の改善効果が期待できる低用量ピルには、いくつか種類があります。特に、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑える作用が強く、皮脂の過剰な分泌を抑制してくれる「第三世代」「第四世代」のピルがニキビ治療によく用いられます。
マーベロン
第三世代のピルで、ニキビ治療の選択肢として長年の実績があります。
ファボワール
マーベロンのジェネリック医薬品(後発品)です。成分は同じで、費用を抑えることができます。
ヤーズ(ドロエチ)
第四世代の超低用量ピルで、月経困難症の治療薬として保険適用されています。男性ホルモンを抑える作用が非常に強く、ニキビへの高い改善効果が期待できます。
ヤーズフレックス
ヤーズと同様の成分で、最大120日間連続で服用できるタイプのピルです。こちらも月経困難症の治療薬として保険適用です。
スピロノラクトン【自由診療のみ】
*スピロノラクトンの取り扱いはありません。
スピロノラクトンは、もともと高血圧の治療などに使われる利尿薬ですが、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑える「抗アンドロゲン作用」という副作用があります。この作用を応用し、大人ニキビの治療薬として用いられます。
スピロノラクトンがニキビに効く仕組み
フェイスラインやあごに繰り返しできる大人のニキビは、男性ホルモンの影響で皮脂腺が刺激され、皮脂が過剰に分泌されることが大きな原因の一つです。スピロノラクトンは体内で男性ホルモンが受容体と結合するのをブロックし、皮脂腺の働きを抑制して皮脂分泌量を減少させ、ニキビの改善効果が期待できます。
欧米のニキビ治療ガイドラインでは推奨されていますが、日本ではニキビ治療薬としては承認されていないため、保険適用外の自由診療となります。
スピロノラクトンはこのような人におすすめ
- 生理前にニキビが悪化する方
- あごやフェイスライン、首にかけて繰り返しニキビができる方
- 顔のテカリや皮脂の多さに悩んでいる方
- 塗り薬や抗生物質の内服などで十分な効果が得られなかった方
- 背中や胸など、広範囲のニキビに悩む方
スピロノラクトンの注意点
- 妊娠中・授乳中の方は服用できません。胎児に影響を及ぼす可能性があるため、服用中および中止後も一定期間は確実な避妊が必要です。
- 腎臓や肝臓に疾患のある方、高カリウム血症のある方は服用できません。
- 男性への投与は、女性化乳房などの副作用リスクがあるため通常行われません。
ニキビ治療薬に関するよくあるご質問
- Q. 塗り薬を使い始めたら、肌がカサカサしてヒリヒリします。大丈夫でしょうか?
- A. はい、特にディフェリンゲルやベピオゲル、エピデュオゲルなどの薬は、使い始めの1ヶ月ほどに乾燥、皮むけ、ヒリヒリ感といった刺激症状が出やすいです。これらは薬が毛穴に作用しているサインでもあり、多くの場合、使い続けるうちにお肌が慣れて症状は落ち着いてきます。ただし、赤みが強くなる、痛みが我慢できないなど、症状がひどい場合は自己判断で中止せず、必ず医師にご相談ください。治療中は保湿をしっかり行うことも大切です。
- Q. ニキビの薬は、いつまで続ければいいですか?
- A. ニキビ治療で最も大切なのは、炎症が治まった後も良い状態を維持することです。特にディフェリンゲルなど毛穴の詰まりを改善する薬は、目に見えるニキビがなくなっても、新たなニキビを予防するために長期間(数ヶ月〜数年)継続することが推奨されます(維持療法)。逆に、抗生物質(飲み薬・塗り薬)は、耐性菌のリスクがあるため、原則として炎症が強い期間のみ(最長3ヶ月)の使用となります。医師の指示に従って根気強く治療を続けましょう。
- Q. 飲み薬の抗生物質は、ずっと飲んでいても大丈夫ですか?
- A. いいえ、抗生物質の長期服用は推奨されません。長く使い続けると、薬が効きにくくなる「薬剤耐性菌」が発生するリスクがあるためです。日本のニキビ治療ガイドラインでも、内服の抗菌薬は炎症が強い期間に限定し、最長でも3ヶ月程度で中止し、その後は塗り薬での治療に切り替えることが原則とされています。
- Q. 妊娠中や授乳中でも使えるニキビの薬はありますか?
- A. 注意が必要です。ディフェリンゲル、エピデュオゲル、イソトレチノイン(内服薬)、テトラサイクリン系の飲み薬(ビブラマイシン、ミノマイシン)は、胎児への影響があるため妊娠中・授乳中の方は使用できません。治療を開始する前に、妊娠の可能性や授乳中であることは必ず医師にお伝えください。使用できる薬剤については、医師が安全性を考慮して判断します。
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- Q. 保険の薬だけでニキビは治りますか?
- A. はい、多くのニキビは保険診療で処方される薬で十分に改善が期待できます。現在の保険治療薬は非常に優秀で、ニキビの初期段階から炎症期まで幅広く対応可能です。ただし、ニキビ跡の治療や、より早く・確実に効果を出したい場合には、ケミカルピーリングやIPL光治療といった自由診療を組み合わせることで、さらに高い治療効果が期待できます。まずは保険診療を基本に、ご自身の状態やご希望に合わせて最適なプランを医師と相談することが大切です。
DRからのニキビ治療に使う薬剤についての一言
なかなか治らないニキビに、一人で悩んでいませんか?このページでご紹介したように、近年のニキビ治療は大きく進歩しており、治療の選択肢は格段に増えました。かつては炎症を抑える抗菌薬が中心でしたが、現在はニキビの始まりである「毛穴の詰まり(面ぽう)」にアプローチする塗り薬が治療の主役です。これにより、今あるニキビを治すだけでなく、ニキビが繰り返しできないように肌の状態を維持していく「維持療法」が可能になりました。
ニキビ跡を残さないために最も大切なのは、炎症がひどくなる前の早期治療と、自己判断で薬をやめないことです。どの薬が最適かは、あなたのニキビのタイプ、肌質、ライフスタイルによって一人ひとり異なります。当院では、保険診療を基本とした適切な薬剤の選択はもちろん、より早く確実な効果を求める方にはケミカルピーリングやIPLなどの自由診療を組み合わせた最適な治療プランをご提案します。長年のコンプレックスを解消し、自信の持てる素肌を取り戻すために、ぜひ一度、専門医にご相談ください。