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貴族フィラーとは?ほうれい線・口ゴボ・横顔バランスを整える注入治療のメリット・デメリット

2025/12/11
更新のアイコン

小鼻の付け根(鼻翼基部)にヒアルロン酸を注入し、ほうれい線改善や上品な横顔形成を目指す「貴族フィラー」。 手軽な施術ですが、顔の中心部は血管リスクが高い部位でもあります。本記事では、治療のメリット・デメリット、具体的なダウンタイム、そして後悔しないための「上手なクリニックの選び方」について、専門医の視点で分かりやすく解説します。

貴族フィラーとは?(どこに注入する施術か)

貴族フィラーとは、小鼻の付け根部分である通称「鼻翼基部」にヒアルロン酸を注入する事で、ほうれい線を改善したり、口元~中顔面のバランスを整えることを目指す施術です。
美容大国・韓国で人気の「貴族手術」と同等の効果を、皮膚を切らない非手術的アプローチで実現し、「貴族フィラー」や「貴族ヒアル」と呼ばれています。口元がこんもりしている・突出している感じの改善や小鼻を小さく見せる効果も期待ができます。

鼻翼基部とはどこか

鼻翼基部(小鼻の付け根)の位置図解

鼻翼基部は、小鼻の付け根部分を指します。小鼻を支える大切な部位であり、この鼻翼基部が骨格や加齢の影響などで凹んでしまうと、ほうれい線が強調され目立つようになってしまいます。
顔の中心部である中顔面に影が出来ると、顔全体が老けた印象や疲れた印象を与えてしまいます。

貴族フィラーとヒアルロン酸フィラーとの違い

いずれもヒアルロン酸注入ですが、狙いと層が異なります。一般的なほうれい線フィラーは、陰になっている溝に沿って直接的にヒアルロン酸を注入していくのに対し、貴族フィラーは鼻翼基部の骨膜上など深い層に注入する事で、根本的な「土台」部分を補い、中顔面全体の印象を変える手法になります。

項目 貴族フィラー(貴族ヒアル) 一般的なヒアルロン酸フィラー
使用成分 主にヒアルロン酸 主にヒアルロン酸(他のフィラー製剤もあり)
注入部位 鼻翼基部(小鼻の付け根の凹み) ほうれい線(鼻翼基部以外)、唇、涙袋、顎、頬など顔全体
主な目的 鼻翼基部の凹みを埋め、ほうれい線改善、口元を上品に見せる シワ改善、ボリュームアップ、輪郭形成など、部位に応じた改善
期待できる効果 ほうれい線が目立たなくなる、小鼻の広がりが改善、口ゴボ改善、鼻が高く見える しわ・たるみの改善、特定の部位のボリューム増大、リフトアップ

ちなみにこの名称は、韓国で流行した鼻翼基部形成手術の俗称「貴族手術」に由来します。小鼻横の凹みを整えると口元が上品に見え、“貴族のような顔立ちになる”という事からこう呼ばれるようになり、手術ではなくヒアルロン酸注入でも同様の効果が得られることから「貴族フィラー」と名が付けられました。

貴族フィラーの特徴と適応

貴族フィラーはどんな悩みに向いているか

ほうれい線が気になる方や小鼻が凹んで口元が突出(口ゴボ)して見えてしまうようなお悩みに改善効果があります。

【主な効果】

    ほうれい線の改善:
    鼻翼基部=小鼻の付け根のくぼみや凹みを補うことで、陰影がやわらぎ、ほうれい線が目立たなくなります。

    口元の突出(口ゴボ)の改善:
    鼻翼基部や上唇基部の基盤をしっかりとさせ形を整える事で、口元の突出感を改善して、横顔バランス(Eライン)を整えることができます。

    小鼻の広がり改善:
    小鼻の付け根を適度にボリュームアップさせる事で、小鼻の影を浅くさせる事ができ、相対的に小鼻の広がりが抑えられスッキリと小さく見せる効果があります。

貴族フィラーに向いている人・向かない人

貴族フィラーに向いている人 貴族フィラーに向かない人
小鼻の横の凹み(鼻翼基部)が目立つ人 もともと鼻筋が低い人(貴族フィラー後に鼻が低く見える可能性がある)
ほうれい線が気になる人(特に鼻横からの線の始まりが深いタイプ) 物理的な突出による口ゴボが強い人(フィラーだけでは改善が難しい場合がある)
軽度の口元の突出感(口ゴボ)を改善したい人 効果の持続を重視する人(ヒアルロン酸は吸収されるため、定期的な注入が必要)
手術(貴族手術)ではなく、切らないプチ整形で改善したい人 永続的な効果を求める人(プロテーゼ挿入などの手術の方が持続性がある)
ダウンタイムが短い施術を希望する人(手術より短い) アレルギーがある人(ヒアルロン酸や麻酔に過敏症の既往がある場合)
気軽にエイジングケアを始めたい人 妊娠中または授乳中の人

男性の貴族フィラー

貴族フィラーは男性にも人気がある施術です。男性でもほうれい線を気にされる方は少なくなく、鼻翼に少量適量のヒアルロン酸を注入し、中顔面のバランスを整えながら自然な形で、ほうれい線の影を改善していくというのが好まれる傾向にあります。皮膚が厚めでも深層に少量ずつ注入していく事でナチュラルさを維持できます。

貴族フィラー(ヒアルロン酸注入)と脂肪注入との違い

貴族フィラー(ヒアルロン酸注入)と脂肪注入の主な違いは、注入する素材・持続性・施術時間・ダウンタイムにあります。
ヒアルロン酸は即時的な見え方の変化を実感しやすく、短時間で行いやすい一方、効果は徐々に吸収により薄れていきます。脂肪注入は自己脂肪が定着すると長期に維持されますが、施術時間やダウンタイムは長めの傾向です。

比較項目 貴族フィラー(ヒアルロン酸注入) 脂肪注入
素材 ヒアルロン酸 自己脂肪
持続性 目安6〜12か月前後(部位・製剤・個人差により変動) 定着した脂肪は比較的長期に維持される場合がある(定着率には個人差)
即効性 あり(施術直後から変化を感じやすい) 腫れが落ち着き、定着が進むまで評価が難しいことがある
施術時間 短い(カウンセリング含め個別に異なる) やや長い(採取・精製・注入の工程を要する)
ダウンタイム 比較的少なめ(腫れ・内出血・圧痛が一時的に出ることあり) 長め(注入部・採取部ともに腫れ・内出血が出やすい)
メリット 手軽で微調整しやすい/可逆性がある(溶解剤による対応が検討可能) うまく定着すればボリューム維持が見込める/自己組織である点
デメリット 吸収により効果が薄れるため再注入の検討が必要 定着に個人差/追加施術が必要になる場合がある/一時的な体重変動等の影響を受けることがある

貴族フィラーで使用されるフィラー製剤の種類

貴族フィラーで一般的に用いられるヒアルロン酸の種類

貴族フィラーは、骨膜上などの深い層にヒアルロン酸を注入し“支点・土台“を作るという観点から、比較的硬さや弾力性があるヒアルロン酸製剤を使うケースが多いです。患者様のお悩みの度合い、皮膚たるみ具合、ほうれい線の深さ、その方のスキンタイプの特徴などを総合的に判断して、多数ある種類の中から最適なヒアルロン酸製剤を選択していきます。

ボリューマ/ボラックス/ボルベラなどの特徴

比較項目 貴族フィラー(ヒアルロン酸) 脂肪注入(自己脂肪)
注入材料 ヒアルロン酸製剤 自身の脂肪細胞
効果の持ち 約6〜12ヶ月(徐々に吸収される) 定着すれば半永久的(定着率に個人差あり)
変化の実感 直後から分かりやすい(即効性あり) 腫れが引き、定着するまで完成形が分かりにくい
所要時間 短い(注入のみで完了) 長い(脂肪採取・精製・注入の工程が必要)
術後の経過 比較的軽い(数日の腫れ・内出血程度) 重め(採取部位の筋肉痛や内出血も伴う)
メリット 手軽・微調整が可能・溶解注射でリセット可能 定着後の維持期間が長い・アレルギーリスクが低い
デメリット 定期的なメンテナンス(再注入)が必要 しこりや石灰化のリスク・採取部位の傷跡

心斎橋コムロ美容外科では、では持続性の高い『ボリューマ』と、馴染みの良い『ボリフト』を使い分けています

ジュビダームビスタ® ボリューマXC

ジュビダームビスタ ボリューマXC

ジュビダームビスタ® ボリフトXC

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貴族フィラーの製剤選びのポイント

貴族フィラーで使用するヒアルロン酸製剤を選ぶ時は、硬さ・粘度・持続期間・安全性が重要なポイントです。前項で解説した通り、硬めの製剤は持続期間が長く、ほうれい線や鼻翼の凹みが深い方におススメで、柔らかめな製剤はナチュラルな変化を求められる方に適しています。但し、「こういう人にはこの製剤」と決めつけられるモノではない為、製剤選びは、希望する仕上がりイメージ、肌の状態、ライフスタイルなどを医師と十分に相談することが大切です。

貴族フィラーの注入量の目安と注入部位

貴族フィラーで何ccが多い・少ないの考え方

貴族フィラーで何ccのヒアルロン酸を注入するかは、当然患者様ひとり1人によって変わります。一般的には、片側0.5cc~1.0ccが目安となりますが、年齢や皮膚の厚さ、ほうれい線の深さ、鼻翼基部の凹みの深さによって適量が異なります。両側で1.0cc~2.0ccくらいを注入される方が多いですが、初回から入れすぎてしまうのはリスクになる為、初めての方は片側0.2cc~0.5ccくらいを目安に段階的に調整していくのが安全です。

0.5cc / 1cc / 2cc / 3ccの一般的な違い

  • 0.5cc:軽度の凹や微調整に最適、初めての方はまずはここからスタート。
  • 1cc:一般的な注入量の目安。バランスを見ながら少しずつ注入量を調整します。
  • 2cc:ほうれい線が目立つ、小鼻の凹みが強い・骨後退が強めの方には段階的に検討。
  • 3cc:特にシワ溝や凹みが目立ち、過去に何度か施術を行った事がある方、他の部位と併用される方

貴族フィラーは、血管が多い鼻や口周りなどデリケートな部位へ注入が必要になる為、 解剖学的知識と高度な注入テクニックが求められる施術です。いきなり大量のヒアルロン酸を注入する事は安全面でのリスクも高くなる為注意が必要です。
心斎橋コムロ美容外科では、骨構造から血管走行まで徹底的に把握している院長池内医師が全ての施術を行い、少量ずつ丁寧慎重に注入する事で自然で美しい仕上がりを追求し、安全にも最大限の配慮を行っています。

貴族フィラーの注入量が多い場合のリスク

ヒアルロン酸の注入量が多すぎる場合、いくつかのリスクが存在する為、注意が必要です。
血管塞栓・しこり・炎症・内出血・腫れ・痛みなどの合併症や不自然なふくらみ・たるみの誘発・皮膚の凹凸といった見た目的な失敗リスクも可能性が出てきます。又、チンダル現象といって、皮膚の浅い層にヒアルロン酸を大量に注入しすぎてしまうと、光の反射で青白く透けて見えてしまう場合もあります。

貴族フィラーの左右差の原因

患者様の骨格の左右差、鼻翼基部の厚みの左右差、表情筋の使い方、既存充填物の残存などをしっかりと術前に把握できないと、術後の左右差の原因となる場合があります。又、当然施術する医師の技術力もとても重要なポイントになります。貴族フィラーの症例数が何件くらいあるのか、過去の経歴、WEB上の口コミ評判なども参考にするようにしましょう。
万が一、術後の左右差が気になる場合は、追加でヒアルロン酸を補填注入したり、ヒアルロン酸溶解注射で溶かすなどで修正することも可能です。

貴族フィラーの追加注入の判断基準

ヒアルロン酸は注入後に馴染むまで、おおよそ1週間程度かかります。術直後は多少腫れや浮腫みが出る場合がありますので、1日2日で判断するのはやめましょう。少し期間を置いて馴染むのを待ち、静止している時・表情を作っている時、それぞれで小鼻やほうれい線の見え方、触診しての部位の硬さなどを確認し、総合的な観点で医師の判断を仰ぎましょう。
積極的な追加注入ではなく、ヒアルロン酸溶解注射を活用したボリューム減での調整も優先的に検討して、安全面に最大限配慮した対応をする事が重要です。

貴族フィラーの施術の流れ

STEP1 予約

まずはお電話またはWEB予約フォーム、LINEから、無料カウンセリングをご予約ください。

STEP2 貴族フィラーのカウンセリング

美容外科歴25年以上の院長池内医師が、患者様のお顔の状態を診察し、お悩みやご希望を詳しく伺います。触診や過去の治療経験なども細かく伺いながら、最適なフィラーの選定・注入量・デザインを御提案し、仕上がりやリスク・費用、術後の過ごし方などについてもしっかりとご説明をさせて頂きます。

STEP3 洗顔・施術の準備

パウダールームでメイクを落としていただき、施術の準備を進めていきます。経過観測の為の術前撮影もこのタイミングでさせて頂きます。
顔全体のバランスや血管走行などもしっかりと確認をしながら、注入する箇所をマーキングしていきます。

STEP4 表面麻酔の有無

貴族フィラーの場合、施術中の痛みはほとんどなく、麻酔無しで施術される方がほとんどですが、痛みにとても不安がある方の場合はオプションで表面麻酔をする事も可能です。これはクリームタイプの表面麻酔で、塗布する事で痛みをほとんど感じる事が無くなります。
局所麻酔クリームや冷却を行う場合、別途20~30分程度かかることがあります。

STEP5 注入の手順(カニューレ・針の違い)

貴族フィラーは、通常の針(鋭針)とマイクロカニューレ(鈍針)のどちらでも注入が可能ですが、それぞれ安全性やダウンタイムに大きな違いがあります。
内出血や腫れのリスクを減らし、より安全で美しい仕上がりを実現するために、マイクロカニューレの使用を標準としています。

STEP6 施術

術前に行ったマーキングを確認しながら、改めて顔全体のバランスも見つつ注入を行っていきます。左右差のチェックも細かく行い、綺麗に仕上げていきます。貴族フィラーの施術時間の目安は、おおよそ10分から15分程度です。


貴族フィラーは痛い?麻酔とカニューレで痛みは最小限に

「鼻の横に注射するなんて痛そう…」と不安に思う方も多いですが、貴族フィラーの痛みは、適切な麻酔と器具を使用することでコントロール可能です。

1. 針を刺す瞬間の痛み(チクッとする程度) 最初に皮膚に極細の針で麻酔をする際、チクリとした一瞬の痛みがあります。当院では痛みを最小限にするため、ご希望の方には塗るタイプの「表面麻酔(クリーム)」を使用し、皮膚の感覚を鈍らせてから施術を行います。

2. 注入中の感覚(押されるような圧迫感) 麻酔が効いていれば、鋭い痛みを感じることはほとんどありません。ただし、鼻翼基部は骨に近い深い層へヒアルロン酸を注入するため、ググっと押されるような「圧迫感」や「重たい感覚」を感じることがあります。

3. マイクロカニューレによる痛みの軽減 当院では、先端が丸くなっている「マイクロカニューレ(鈍針)」を標準使用しています。通常の尖った針とは異なり、皮膚の中の神経や血管を傷つけずに進むことができるため、施術中の痛みや不快感を大幅に減らすことができます。


貴族フィラーの施術後の経過とダウンタイム

貴族フィラーはメスを使わないため、美容整形の中では比較的ダウンタイムが短い施術です。しかし、鼻翼基部はよく動く部位であるため、独特の経過をたどることがあります。

施術直後〜当日

針穴の赤みや、麻酔による軽い腫れ・痺れを感じることがあります。メイクで隠せる程度の赤みがほとんどです。

翌日〜3日目(腫れのピーク)

個人差はありますが、翌朝にむくみや腫れのピークが来ることが多いです。見た目にパンパンに腫れ上がることは稀ですが、「笑った時に頬が突っ張る」「口が開きにくい」といった違和感をこの時期に最も強く感じます。

1週間後

万が一、内出血(青あざ)が出た場合も、1週間〜10日程度で黄色く変色し、徐々に消失します。腫れも引き、お顔に馴染んできます。

1ヶ月後

ヒアルロン酸が組織と完全に一体化し、触った時の硬さや違和感も消失して、自然な仕上がりとなります。

ダウンタイム中のよくある症状と対策 

  笑いにくい・表情の違和感

 鼻の横にヒアルロン酸という「土台」を入れるため、馴染むまでは笑顔を作った際に皮膚が引っ張られる感覚や、小鼻が動かしにくい感覚が生じます。通常は2週間以内で消失します。 

触れた時のしこり感

 注入直後は製剤の硬さを感じることがありますが、ヒアルロン酸は吸水性があるため、徐々に周囲の組織と馴染んで柔らかくなります。気になっても、強く揉んだりマッサージしたりすることは避けてください。

貴族フィラーで起こり得る副作用・リスク

貴族フィラーは手軽な施術ですが、鼻周辺は血管が複雑に走行している「危険地帯(デンジャーゾーン)」とも呼ばれる部位です。メリットだけでなく、リスクについても正しく理解しておくことが重要です。

1. 一般的な副作用

内出血 :針が血管に当たることで、皮膚の下で出血し、青紫色になることがあります。マイクロカニューレ(鈍針)を使用することでリスクを最小限に抑えられますが、完全になくすことはできません。メイクでカバー可能です。 

アレルギー・感染: 極めて稀ですが、注入後に遅発性のアレルギー反応や、細菌感染による腫れ・痛みが生じることがあります。熱感や強い痛みが続く場合は、速やかに受診が必要です。

 2. 仕上がりに関するリスク(失敗例) 

鼻が大きく見える(小鼻が広がる): 注入量が多すぎたり、浅い層に入れてしまったりすると、ヒアルロン酸のボリュームで小鼻が外側に押し広げられ、鼻が大きく見えてしまうことがあります。

ヒアルロン酸の移動・偏り: 適切な層(骨膜上などの深層)に注入されていない場合、表情筋の動きによってヒアルロン酸が移動し、変な位置で固まったり、凹凸ができたりするリスクがあります。 

チンダル現象: 皮膚の浅い部分に多量に注入すると、ヒアルロン酸が水分を含んで青白く透けて見える「チンダル現象」が起こることがあります。 

3. 重篤な合併症(血流障害): 最も注意すべきリスクです。鼻翼周辺には重要な動脈が走っています。

【重要】貴族フィラーで失明する?血管閉塞のリスクと当院の安全対策

インターネットで貴族フィラーを調べると、「失明」「壊死」といった怖いワードが出てくることがあります。これらは極めて稀なケースですが、鼻周辺の解剖学的な構造上、ゼロではないリスク(血管閉塞)です。 なぜリスクがあるのか、そして当院ではどのようにその事故を防いでいるのかを包み隠さず解説します。

なぜ失明や壊死のリスクがあるのか 鼻の横(鼻翼基部)には、「顔面動脈」という太い血管が走っています。この動脈は目の奥の血管ともつながっています。 もし、誤ってヒアルロン酸をこの血管の中に注入してしまうと、血液の流れに乗って目の血管が詰まり「失明」したり、皮膚への血流が途絶えて「皮膚壊死」を引き起こしたりする可能性があります。これが貴族フィラーが「デンジャーゾーン(危険地帯)」の施術と呼ばれる理由です。

当院の「失明・壊死リスク」を防ぐ4つの安全対策 心斎橋コムロ美容外科では、この重篤な合併症を未然に防ぐため、以下の徹底した対策を行っています。

  1. マイクロカニューレ(鈍針)の必須使用 通常の尖った針は血管を突き刺してしまうリスクが高いですが、当院で使用する「マイクロカニューレ」は先端が丸くなっているため、血管を傷つけず、避けて通ることができます。これにより、血管内に誤注入するリスクを劇的に下げています。

  2. 解剖学を熟知したベテラン医師による施術 血管がどの深さ、どの位置を走っているかは、解剖学の知識と経験が必須です。当院では、美容外科歴25年以上の院長が、血管の走行を指先の感覚で確認しながら慎重に施術を行います。

  3. 骨膜上(深い層)への注入 重要な血管の多くは皮下組織の中層を走っています。当院では、血管が比較的少ない「骨膜上(骨のすぐ上)」という深い層を狙って注入することで、血管閉塞のリスクを回避しています。

  4. 逆血確認(アスピレーション)の徹底 ヒアルロン酸を注入する直前に、必ずシリンジ(注射器)を引いて、血液が逆流してこないかを確認します。これにより、針先が血管内に入っていないことを確実にチェックしてから注入を行います。

貴族フィラーは満足度の高い施術ですが、こうしたリスク管理ができていない未熟な手技で行うと事故につながります。クリニック選びの際は「安さ」だけでなく、「安全対策」と「医師の経験」を最優先に確認してください。

よくある失敗・トラブルと当院の対策

貴族フィラーの“失敗”の多くは、体質よりも 診断と注入設計(=医師の技術) の差で起こります。ポイントは「どこに・どの層へ・どの量を・どの方向に置くか」です。まず多い原因は、注入ポイントのズレです。支えるべき位置から外れると、リフトではなく横にボリュームが出てしまい、鼻横が膨らむ/小鼻が広がったように見えるなどが起きやすくなります。
次に、層(深さ)の選択ミス。浅いと不自然さや影の強調、深すぎると変化が乏しく「ほうれい線が残る」と感じやすくなります。

当院では、念入りなカウンセリングを行い、美容外科歴25年の院長池内医師が患者様一人ひとりの骨格・皮膚の厚み・左右差・表情の癖を事前に評価し、注入ポイントと層(深さ)を明確にした上で、適切な施術をご提案しております。静止時だけでなく笑顔や会話時の動きも確認し、不自然さや小鼻の広がりにつながりにくいバランスを狙います。さらに、リスクやダウンタイム、完成時期の目安などを具体的に説明し、お客様が不安を抱えないようフォロー体制を整えています。


貴族フィラーと他施術との比較

貴族フィラーとほうれい線ヒアルロン酸注入との違い

項目 貴族フィラー(鼻翼基部への注入) ほうれい線ヒアルロン酸注入
アプローチする場所 小鼻の付け根のくぼみ(鼻翼基部) ほうれい線そのものの溝(しわ)
治療ゴール 土台を持ち上げて高さを出す 溝を埋めて平らにする
得られる変化 - ほうれい線の根本原因を改善し、影を消す
- 顔の中心に立体感が生まれ、品のある顔立ちに
- 小鼻の横幅軽減や口元の突出感の緩和
- 表面に見えているしわを直接目立たなくする
- 若々しいハリを取り戻す
おすすめなタイプ - 鼻横のくぼみが深い骨格の方
- 口元が前に出ている(口ゴボ)ように見える方
- 平坦な顔に立体感が欲しい方
- たるみによって線ができている方
- シワの溝自体が深い方
- 今あるシワを即座に消したい方
注入する深さ 骨膜上などの深い層(土台作り) 真皮層や皮下組織などの浅〜中層

中顔面短縮効果の考え方

貴族フィラーには、「中顔面の短縮効果」も期待ができます。メスを入れて根本的に皮膚や骨を処置するわけではない為、実際に長さが縮むのではなく、ヒアルロン酸注入で鼻翼基部の支持を補い上唇基部の投影をわずかに高めて、鼻横の影と人中まわりの“余白”を減らし短く見せるというアプローチになります。

貴族フィラーと糸リフトを併用する場合の注意

貴族フィラーと糸リフトの併用は人気の組み合わせで、たるみのリフトアップとほうれい線改善、中顔面のバランス調整など相乗効果が期待できますが、いくつか気を付けなくてはいけない注意点があります。
糸リフトをしてから貴族フィラーという施術の順番も重要です、ヒアルロン酸注入をしてから糸リフトをしてしまうと、せっかくヒアルロン酸注入をして整えた形が崩れてしまい、左右差や不自然な仕上がりになってしまう場合が少なくありません。
ヒアルロン酸の注入量も要注意です。組み合わせ治療の場合、通常の施術の時よりも、より慎重に少量ずつバランスを見て調整していく必要があります。
ダウンタイム中の注意事項としては、糸が挿入された部位が安定するまでの一定期間(通常1ヶ月程度)、口を大きく開けたり、硬いものを食べたりする行為は控える必要があります。

アップノーズ(鼻先の角度)との関係性

アップノーズは鼻筋の長さが十分にある状態で鼻先が上を向いている状態を指しますが、貴族フィラーは鼻翼基部の凹みを補う注入で、鼻先角度を直接変える治療ではありません。
鼻翼基部が前方に満たされると顔のバランスが変わり、鼻先までの距離が相対的に短く見えて、アップノーズが少し改善されたかなと思える場合もあるかもしれませんが、アップノーズを改善したい場合には、鼻中隔延長術などを検討するのがよいでしょう。

貴族フィラーの持続期間と戻り方

貴族フィラーの一般的な持続期間

持続期間は、使用するヒアルロン酸製剤の種類(架橋度・弾性)、注入量、代謝、日常の表情・可動性などで差がありますが、一般には半年〜1年前後と言われています。

貴族フィラーが馴染むまでの期間

施術直後は多少腫れや赤みを感じる場合がありますが、2〜3日程度で改善することが多いです。質感や注入部位の馴染みは2〜4週間かけて進み、完成は1カ月程度が目安となります。自己判断のマッサージや圧迫は形の変化の原因になり得るため、医師からの指示がない限り控えて下さい。

フィラーの移動・吸収の仕組み

ヒアルロン酸は時間とともに体内にある酵素によって、徐々に分解され、吸収されていくものです。一般的には半年から1年程度で効果が薄れ、最大で1年半ほどで体内に吸収されるとされています。又、日常生活での表情変化や重力・圧迫など力学的ストレスによって形が変わることもあります。注入部位へのマッサージや強い圧迫を避け、適切なケアをすることで吸収速度をコントロールできます。

貴族フィラーの費用相場

貴族フィラーの1ccあたりの相場

1ccあたりの相場は、使用するヒアルロン酸の種類やクリニックによって異なりますが、概ね3万円から7万円台が主流です。
金額は東京・大阪・名古屋などで地域差も多少あるかと思いますが、使用する製剤の種類・注入する量・キャンペーンメニューの有無・執刀する医師の氏名料などの有無に大きく依存します。
クリニックよって使用するカニューレ(針)の種類や麻酔代・カウンセリング代の有無も変わりますので、事前に確認をしておくとよいでしょう。

モニターの注意点

モニター割引を行っているクリニックもありますが、モニターメニューの多くは経験の浅い医師や新人ドクター向けに展開している場合が多いです。貴族フィラーのように繊細な部位への処置が必要な施術の場合、安易に価格の安さでクリニックを選んでしまうと、取り返しのつかない事になる可能性がある為注意が必要です。

施術前後の過ごし方と注意点

貴族フィラーの施術後は、注入部位への刺激を極力避けて頂き、血行が良くなる行動もしないと心がける事が重要です。

  • エステやマッサージは控える
  • 激しい運動や入浴は控える
  • 飲酒を控える
  • うつぶせ寝を控える
  • 喫煙を控える

施術直後から目安48時間ほどは、これらの行為を控えると綺麗な仕上がりを長期間キープできる重要なポイントになります。


喫煙・飲酒・サプリメント
アルコールは血管を拡張させ、血流を良くするため、施術部位の腫れや内出血を悪化させる可能性があります。喫煙は血行不良を引き起こし、傷の治りを遅らせたり、ダウンタイムを長引かせたりするリスクがあります。又、特定のサプリメントも血液をサラサラにする成分や血行促進作用が含まれている物がある為リスクがあります。執刀医に必ず確認するようにしましょう。

歯医者の予約/歯列矯正
貴族フィラー直後に、抜糸やスケーリング、矯正ワイヤーの施術をする事は控えて下さい。少なくても1週間前後間隔を開ける事をお勧めします。

鼻かみ・あくび・表情の癖
強い鼻かみ、大あくび、口をすぼめ癖がある方は、注入部に圧が掛かりデザインが崩れる可能性がある為、注意が必要です。

スキンケア・メイク
施術当日はノーメイクが推奨されます。レチノールやAHA/BHA、強い摩擦は施術の前後1週間程度間隔を開けるのが望ましいです。

施術間隔
1回貴族フィラーを行うと、通常は半年から1年半ほど効果が持続される為、注入頻度もこれに合わせていく形になります。勿論、効果は使用する製剤や個人差がある物になるので、一概には言えませんが、執刀医としっかりとコミュニケーションをとる事が大切です。ヒアルロン酸注入は施術間隔が短くなりがちで、短期間での注入を繰り返すといわゆる“ヒアル顔”(ヒアルロン酸の過剰注入によって表情が不自然になる)になってしまう可能性がある為、しっかりと適切な施術間隔を開ける事が大切です。

寝る姿勢(横向き・うつ伏せ)
施術部位に外的圧迫や負担がかからないように仰向けで寝る事が推奨されます。横向きやうつ伏せで寝る癖がある方は、タオルを置くなどで調整すると良いでしょう。

運動前後の注意
高強度な運動は、血液促進効果があり腫れや内出血を助長する場合があります。施術後48時間は、極力運動を控える方が望ましいです。

貴族フィラーのよくある質問(FAQ)

Q.施術後にうまく笑えない気がするのはなぜですか?

A:鼻翼基部(小鼻の付け根)は、笑うときに使う筋肉の起点となる場所です。そこにヒアルロン酸が入ることで一時的にツッパリ感が生じ、笑いにくさを感じることがありますが、通常は2〜3日、長くても1週間程度で馴染んで気にならなくなりますのでご安心ください。

Q. 鼻の横の膨らみや違和感はいつまで続きますか?

A:施術直後の腫れやむくみは、個人差がありますが通常2日〜1週間程度で落ち着きます。触れた時の「硬さ」などの違和感はもう少し長く続くことがありますが、ヒアルロン酸が周囲の組織と馴染むにつれて徐々に柔らかくなり、2〜4週間ほどで自然な感触になります。

Q. 笑ったり表情を動かしたりするとズレますか?

A:経験豊富な医師が適切な層(深さ)に適切な量を注入していれば、笑う程度の日常的な表情の動きでヒアルロン酸が大きく移動したりズレたりすることはほとんどありません。

Q.すぐにお酒は飲めますか?

A:施術後48時間は控えてください。アルコールは血行を良くするため、腫れや内出血が強く出たり、長引いたりする原因になります。その後も数日間は、過度な飲酒は避けていただくことをおすすめします。

Q. タバコ(喫煙)は影響ありますか?

A:はい、影響があります。喫煙は血管を収縮させて血流を悪くするため、傷の治りが遅れたり、感染症のリスクを高めたりする可能性があります。ダウンタイムを軽く済ませるためにも、施術の前後数日間は禁煙をおすすめします。

Q.どのくらいで顔に馴染みますか?

A:見た目の腫れが引いて落ち着くまでは1〜2週間、触り心地まで自然に馴染んで完成するまでは2〜4週間が目安です。

Q. 未成年でも注入できますか?

A. 年齢制限は特にありませんので、10代の方でも受けていただけます。ただし、18歳未満(未成年)の方が施術を受ける場合は、親権者様の同意書が必要です。

Q. 元に戻りますか?溶かすことはできますか?

A. ヒアルロン酸は時間をかけて体内で分解・吸収されるため、最終的には元の状態に戻ります。また、万が一仕上がりにご満足いただけない場合やトラブルが起きた際には、「ヒアルロニダーゼ」という薬剤でヒアルロン酸を溶かし、リセットすることも可能です。

詳細は記事内の『ダウンタイム』の章をご覧ください


貴族フィラーを受けようか迷われている方は、まずは無料カウンセリングでご相談を

貴族フィラーは、鼻翼基部まわりのバランスを整えて、ほうれい線など陰影の見え方を調整することを目的としたヒアルロン酸注入治療です。
メスを使わずに手軽に受けられるという大きなメリットがある反面、神経や血管などが多数関わっている顔の中心部分の施術になる為、知識や経験が浅いドクターが安易にヒアルロン酸注入を行うと、取り返しのつかないリスクに繋がる場合もゼロではありません。
気軽に受けられるからといって、「家の近所」や「安いから」といった安易な理由ではなく、しっかりと情報を調べてから、執刀医を選ぶ事が成功の秘訣です。
心斎橋コムロ美容外科では、念入りなカウンセリングを行った上で、美容外科歴25年の院長池内医師が患者様一人ひとりに適切な施術をご提案しております。
大阪心斎橋エリアで貴族フィラーの施術をお考えの方は、是非当院までお気軽にご相談ください。

この記事の監修者
医療法人秀晄会コムロ美容外科 院長 池内 秀行
名前
池内 秀行
肩書
医療法人秀晄会 コムロ美容外科(大阪・心斎橋)院長
保有資格
  • 日本麻酔科学会会員
  • 麻酔科標榜医
  • 日本美容外科学会(JSAS)会員
  • 美容外科(JSAS)専門医
  • アラガンボトックスビスタ認定医
  • アラガンジュビダーム認定医
経歴
  • 1996年 神戸大学医学部卒業・同大麻酔科入局
  • 2000年 大手美容外科 入職
  • 2001年 コムロ美容外科入職
  • 2006年 心斎橋コムロ美容外科クリニック 院長就任

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