昨日のブログの続きです。
プロテーゼの抜去は、通常鼻の穴から行うのですが、
今回のケースでは、L字プロテー ゼの短脚の部分が
ほぼ露出しているため、そのまま引き抜きを行いました。
ポケットを生理食塩水で洗浄し、
皮膚の断端をトリミングし吸収糸とナイロン糸で縫合しました。
今回の問題点
1. オープン法にてL字プロテーゼを使用している
前医ではプロテーゼを挿入する際、
鼻柱を横に切開するオープン法で行ったようですが 、
皮膚の傷の真下にプロテーゼが来ると血流障害のため、
高確率でプロテーゼが露出します。
I字プロテーゼであれば問題なかったでしょう。
2.短鼻の改善目的でプロテーゼを選択している。
異物であるシリコンプロテーゼで鼻先を下に向けようとすると
高確率でプロテーゼが露出します。
耳介軟骨移植や鼻中隔延長術を選択するべきです。
3.再手術が必要にもかかわらず適切な対応が取れなかった前医
患者が鼻尖の赤みを言ってきた時点で抜去するのが正解だったと思います。
プロテーゼが露出しているにも関わらず、適切な処置をしていないのは
論外だと思います。
どのような美容手術でもリスクがありますし、
手術が成功しても結果がうまく出ないケースもあります。
大切なのは、アンテナを適切な処置を適切な時期に行い、
必要なら他 の医療機関に紹介してくれるようなクリニックを選ぶべきですよね。
術後、当初恐れていた 鼻柱、鼻尖の皮膚の欠損も大きくなく、
まずまずの形状に戻すことができました。
術後、鼻尖が腫れたり拘縮すると短鼻に戻ってしまうので、
鼻尖縮小用の ギブスを作成し、圧迫を最低1週間続けてもらうことにしました。
患者様は、手術終了時自分の鼻を見て少し安心されたようです。