皆さんこんにちは。
今日は、GID(性同一障害)に使える塗り薬をご紹介します。
GIDとは、こころの性と体の性の不一致であり、男性から女性へ(MTF
Male To Female)であれば女性ホルモンを、女性から男性(FTM Female To Male)であれば男性ホルモンを投与することで、身体的特徴を女性もしくは男性に近づける治療です。
GID治療は性ホルモンを2~3週間間隔で筋肉注射するのですが、体内のホルモン濃度は注射当日に最高になった後、分解や代謝によって濃度は下がっていきます。それを薬の血中濃度といいますが、至適濃度以下になると、薬は効果を発揮しなくなります。
現在ホルモン注射の補助治療として行っているのは、卵胞ホルモン(プレマリン)内服薬の併用でした。しかしながらプレマリンは肝臓で分解されるため、、肝機能の数値に悪影響を与えてしまします。
肝機能に影響を与えず、女性ホルモン濃度を保つお薬として今回取り上げるのは、
ル・エストロジェル
という日本で初めて承認された女性ホルモンのエストラジオール外用ゲル剤です。
ル・エストロジェルはもともと女性の更年期障害として開発されたのですが、同じくエストロジェンを投与するMTFでも使えます。
メリットとしては、
1.一日1回、両腕に塗るだけなので扱いが簡単
2..直接経皮吸収されるため、注射や内服薬と違って肝機能に影響をほとんど与えない。という特徴があります。
扱いが簡単で、副作用が少ないル・エストロジェルですが、当院ではホルモン注射と併用して使うことで、注射後1週間以降のフラッシュバックを予防することをお勧めしています。
MTFの方の中には、胸にル・エストロジェルを塗って胸が大きくなったという方もおられます。
(使用注意書きでは、胸への塗布はやめてくださいとの記載がありますので、自己責任でお願いします。)
男性のエストロゲン血液中濃度は、20~60pg/mlですが、毎日2プッシュ使用した場合、60.8±22.6pg/ml上昇するといわれています。これは、女性の卵胞期後期の平均値とほぼ同じくらいなので効果が実感できそうですね。
価格は、ル・エストロジェル 80g1本(2プッシュで42日分)が、3.800円(税抜)になります。
そして、FTMにも同様に、男性ホルモンが含まれている塗り薬があります。大東製薬が発売している グローミンは通信販売や、一部薬局でも取り扱っているテストステロン製剤です。
こちらも、中高年男性の勃起不全や性欲低下などの男性更年期障害の治療薬として発売されていますが、FTMの補助治療にも有効でしょう。しかしながらグローミン1本につきテストステロン 10mgしか含まれていないため(FTMのテストステロンの1回注射量は、125~250mg)、ル・エストロジェルほどの効果は望めないかもしれません。
ただし内服タイプのテストステロンは、副作用が強いため補助的な使用であれば問題ないでしょう。
グローミンはインターネット等でも購入できますので、当院での取り扱いはありません。(3.000円程度で購入できます。)
GIDの場合、ホルモン剤の筋肉注射が治療の主体になりますが、次回の注射の数日前になるとホルモン血液中濃度が至適濃度以下に下がり、効果が出ていない可能性があります。
お悩みの方は、扱いの簡単な塗り薬タイプのホルモン剤を使ってみてはいかがでしょうか?
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