鼻尖縮小術(ダンゴ鼻修正)
鼻尖縮小術(ダンゴ鼻修正)とは?
鼻尖縮小術は、鼻翼軟骨の形状を整えることで鼻先を細く、高くする手術方法です。東洋人の鼻は、鼻先の皮膚が厚く固い一方で、それを支える鼻翼軟骨が柔らかい特徴があります。そのため、鼻先を支えきれず、太く「だんご鼻」に見えることが多いです。一般的な鼻尖縮小術では、左右の鼻翼軟骨を糸で引き寄せる方法が取られますが、東洋人の柔らかい鼻翼軟骨には効果が出にくいという欠点がありました。そこで、耳介軟骨移植を併用して鼻先の高さを出すのが一般的です。当院独自の「鼻尖縮小術」【Tardy変法ベース】 当院が採用している鼻尖縮小術は、Tardy変法をベースにアレンジを加えた独自の手術術式です。この術式では、左右の鼻翼軟骨の「外側脚」と呼ばれる部分を半ばで切断し、内側に折り曲げることで、鼻先を高く、そして細くすることが可能です。
当手術は、2023年の美容外科学会(JSAS)にて発表しました。
鼻尖縮小術はこういった方に向いています。
- 鼻先が丸い、いわゆる「団子鼻」で悩んでいる方
- 鼻先が大きく、横に広がって見える方(にんにく鼻)
- 鼻先を細く、シャープな印象にしたい方
- 笑ったときに鼻先が広がるのが気になる方
コムロ美容外科の「鼻尖縮小術」:2024年最新術式
2024年現在、当院が行っているのは、Tardy変法に独自の工夫を加えた手術方法です。この術式では、鼻翼軟骨の外側脚を半ばで切断し内転させることで、約5mm程度、鼻先を高くすることが可能です。しかし、鼻翼軟骨は非常に柔らかく、そのままでは鼻先を支えきれない場合があります。そのため、当院ではTnRメッシュと呼ばれる吸収性インプラントを併せて使い、鼻翼軟骨を補強しています。
さらに、耳介軟骨を併せて使用することで、鼻中隔延長術へと発展させることも可能です。
鼻尖縮小術の流れ
- 1. カウンセリング
- 患者様一人ひとりの鼻先の大きさ、軟骨の柔らかさ、鼻先の皮膚の厚み、脂肪の量などを詳細にチェックし、最適な手術内容を決定します。また、アップノーズ(鼻先が上を向いている状態)気味の場合には、鼻先を下に向けることのできる鼻中隔延長術の方が適していることもあります。患者様のご希望と鼻の状態を総合的に判断し、最適なプランをご提案します。
- 2.麻酔
- 手術中の痛みを最小限に抑えるため、ブロック麻酔と局所麻酔を併用します。まず、吸入麻酔で一時的に痛みを感じない状態にしてから、広範囲に麻酔が効くブロック麻酔を行い、手術部位全体に局所麻酔を施します。鼻尖縮小術以外に複数の手術を同時に行い、長時間を要する場合には、静脈麻酔をお勧めしています。
- 3-1.手術 皮下剥離
- 鼻腔内と鼻柱を切開するオープン法にて行います。鼻尖皮下を広範囲に剥離して、鼻翼軟骨周囲の軟部組織を切除します。
- 3-2.手術 鼻尖形成(鼻翼軟骨とTnRメッシュによる柱)
- 当院の鼻尖縮小術の核となる工程です。鼻翼軟骨の外側脚を切断し内側に折り曲げることで、鼻先を支える「柱」を形成します。これで約5mm程度鼻先を高くすることができます。
しかし、鼻翼軟骨は非常に柔らかく単独では支えきれない場合があるため、補強としてTnRメッシュを2枚の鼻翼軟骨の間に挟み込み、強固で安定した鼻先の土台を築きます。 - 3-3.手術 最終調整
- 作成した鼻翼軟骨とTnRメッシュの組み合わせによる「鼻柱」を仮縫合し、鼻全体の形状のバランスを細かくチェックします。 必要に応じて鼻翼軟骨の余分な部分をカットし、より自然で理想的な鼻先に近づけます。
また、鼻先が高くなったことで、その後方に生じる陥凹部(へこみ)の修正も行います。この部分には、ダイスカットした(細かく刻んだ)鼻翼軟骨片や、最初に採取した軟部組織を充填することで、段差のない滑らかな鼻筋を形成します。
鼻尖の再手術症例で、以前の手術により鼻翼軟骨が吸収され不足している場合には、患者様ご自身の耳介軟骨を採取して補う必要がある場合があります。 - 4.縫合 ギブス固定
- 吸収性の糸で中縫いを行い、その後ナイロン糸で丁寧に傷を縫合します。術後の腫れを最小限に抑えるため、ギプスと医療用テープによる固定を行います。
鼻尖縮小術と組み合わせる手術
鼻尖縮小術は、単独で行うだけでなく、他の手術と組み合わせることで、より患者様のご希望に沿った鼻の形を実現できます。
1.耳介軟骨移植
鼻翼軟骨が小さかったり、再手術で鼻翼軟骨が吸収されている場合など、鼻翼軟骨の代用として耳介軟骨を併用します。これにより、必要な高さを確保し、安定した鼻先を形成します。
2.鼻中隔延長術
鼻中隔延長術と鼻尖縮小術は、手術の途中まで工程が共通しています。鼻先を延長するためには、まず鼻尖縮小術で鼻先の皮膚にゆとりを持たせる必要があるためです。
鼻が短く、鼻先を斜め下方向に伸ばしたい場合には、TnRメッシュと鼻翼軟骨で作成した「鼻柱」の先端に、耳介軟骨を固定することで鼻中隔延長が可能になります。
3.鼻プロテーゼ
鼻尖縮小術は鼻先のみの高さの変化に限定されるため、鼻筋全体の高さも揃えたい場合には、鼻プロテーゼとの組み合わせが必要になります。当院では主にI字プロテーゼを使用し、鼻筋から鼻先まで自然で美しいラインを形成します。
理想の鼻尖のサイズとは?|【コムロ式】美しい鼻先の黄金比
理想の鼻先のサイズは、年齢や性別、そしてお顔全体のバランス(頭蓋骨の大きさなど)によって一人ひとり異なります。 そのため、当院では鼻翼(小鼻)や鼻筋といった他のパーツとの調和を最も重視し、患者様にとって最も美しい鼻先を追求しています。コムロ美容外科が考える、理想的な鼻先のバランスをご紹介します。
鼻先と鼻筋の黄金比
理想の鼻尖は、鼻筋と鼻尖がほぼ同じ幅なのが好ましいと考えています。鼻尖が鼻筋と比べて細くなりすぎると、ピンチノーズと呼ばれる、洗濯ハサミでつまんだような鼻になってしまい不自然さが出てしまいます。
鼻先と鼻翼(小鼻)の黄金比
鼻翼(小鼻)全体の横幅に対して、鼻先の横幅が約半分程度というのが、望ましいバランスだと考えています。
一般的に、東洋人の鼻翼幅は平均して約35mm程度と言われています。この基準に当てはめると、鼻先の幅は約17~18mmが理想的なサイズとなります。
鼻翼基部と鼻尖基部の位置のバランス
鼻を正面から見たときに、左右の鼻翼の基部と、鼻柱の基部、3点結んでできる三角形を Alar-columellar triangle といいます。この三角形が下向き、鼻柱の先端が鼻翼基部より下にある状態が、美しいとされています。
鼻尖縮小では、鼻尖の位置が少し上に移動するため、アップノーズが悪化します。その場合には、鼻尖縮小も行い、かつ尾側方向に鼻尖を延長する鼻中隔延長術が適応になります。
術後アフターケア
当院では、患者様が安心して美しい鼻先を手に入れられるよう、術後のアフターケアにも力を入れています。
鼻尖の腫脹
鼻尖の腫れが引くとともに、一時的に硬くなります。
ギブス着用、マッサージを必要に応じてしていただきます。
硬さとともに、鼻尖の腫脹が目立つ場合には、柔らかくする注射を数回行う場合があります。
ピンチノーズへの対応
術後の腫れが少なく、ギプスによる圧迫が効きすぎた場合などに、鼻先が細くなりすぎる「ピンチノーズ」になることがあります。抜糸などの検診の際には、鼻の腫れの程度を注意深く診察し、必要に応じてギプスの着用を中止したり、より緩やかな形に作り替えるなどの対応をいたします。
通常、時間経過とともにピンチノーズは改善していく傾向にありますが、それでも改善が見られない場合には、脂肪移植などの修正方法をご提案することも可能です。(※当院では、このようなケースはほとんどございません。)
鼻尖縮小術の手術費用
項目 | 費用(税込み) |
---|---|
鼻尖縮小術 | 330,000円 |
鼻尖縮小術の手術内容
時間 | 90分程度、日帰りでの手術です |
---|---|
備考 | 局所麻酔をメインに行います。希望により静脈麻酔を併用します。 |
固定 | 目立たない肌色のテープと小さなギプスで、約7日間程度固定を行います。(患者様のご状態によっては、固定期間を延長することもあります。) |
抜糸 | 7日前後に予定しています。 |
腫れ | 2~3日をピークに2週間程度で引いていきます。 |
その他 | 吸入麻酔中に局所麻酔を行います(鼻のご手術の吸入麻酔には料金はかかりません) |
鼻尖縮小術に関するよくある質問
Q.鼻尖縮小術とはどのような手術ですか?
A.鼻尖縮小術は、主に「団子鼻」のように横に広がって丸く見える鼻先を、細くシャープな印象に改善するための手術です。鼻先の幅を狭くし、高さを出すことで、バランスの取れた鼻のラインを目指します。鼻尖縮小術の要素としては、鼻先の余分な脂肪組織や軟部組織を除去し、左右に開いた鼻翼軟骨(鼻先の形を形成する軟骨)を中央に引き寄せて縫い合わせる「軟骨縫縮」などが行われます。
鼻翼軟骨が小さかったり、弱い場合、鼻先に高さを出すために耳介軟骨などの自家組織を移植することもありますが、これは「鼻尖形成術」全体の一部と捉えることもできます。
Q.どのような方法で行われますか?
A.鼻尖縮小術の主なアプローチは以下の通りです。
<軟骨縫縮(耳介軟骨移植との併用も含む)>
● オープン法: 鼻柱(鼻の穴の間)を切開し、鼻の皮膚を持ち上げて直接鼻翼軟骨を露出させ、余分な脂肪組織を除去します。その後、左右に開いた鼻翼軟骨の中間脚や外側脚を中央に引き寄せて糸で縫い合わせることで、鼻先を細くします。必要に応じて、鼻先に高さや形を得るために耳介軟骨などを移植することもあります。
● クローズ法: 鼻の穴の内側を切開して手術を行うため、外から傷跡が見えにくいのが特徴です。限られた視野の中で軟部組織の除去や軟骨縫縮を行います。
<脂肪・軟部組織の除去>
鼻先の厚みの原因となっている余分な皮下脂肪や軟部組織を慎重に除去することで、鼻先のボリュームを減らし、すっきりさせます。
多くの場合、軟骨縫縮と脂肪除去が組み合わせて行われます。
Q.鼻尖縮小術の手術時間はどのくらいですか?
A.手術内容や複雑さによって異なりますが、一般的には1.5時間から2時間程度です。
Q.鼻尖縮小術のダウンタイムはどのくらいですか?
A.ダウンタイムには個人差がありますが、一般的な目安は以下の通りです。
● 腫れ・内出血: 術後数日〜1週間がピークで、2週間〜1ヶ月程度で徐々に引いていきます。特に鼻先は腫れが出やすい部位です。
● ギプスまたはテーピング固定: 術後数日間〜1週間程度、鼻の形を安定させるためにギプスや医療用テープで圧迫固定することがあります。
● むくみ: 完全にむくみが引いて自然な仕上がりになるまでには、数ヶ月かかることもあります。
Q.傷跡は目立ちますか?
A.オープン法の場合、鼻柱の根元にZ字型やV字型の切開線が入りますが、時間の経過とともにほとんど目立たなくなります。クローズ法の場合、鼻の穴の内側を切開するため、外から傷跡が見えることはありません。
耳介軟骨移植術
耳介軟骨移植術は、耳から軟骨の一部を採取し、ご自身の鼻の必要な部分へ移植することで、上向きの鼻を下向きにさせたり、鼻先を尖らせたりする手術内容です。状態によっては、他の鼻の手術も併用して行うことでより理想のお鼻の形を形成致します。
耳介軟骨移植術はこういった方に向いています。
- 上向きや下向きの鼻先の向きを変えたい
- ご自身の組織を使用して鼻の形を整えたい
耳介軟骨の特徴
耳にある耳介軟骨は、ご自身で触っていただいてもお分かりいただけると思いますが、鼻先の軟骨のように非常に柔らかい特徴があります。この耳介軟骨を耳の後部を少しだけ切開して1㎝~2㎝程の耳介軟骨を採取して鼻先に使用することで触った感じも見た目も自然な理想の鼻先を形成することが可能です。
症例 耳介軟骨移植術 20代 女性
患者様の希望で、鼻尖縮小術ではなく、耳介軟骨移植術を行いました。

耳介軟骨は、左耳介後部から15×8mm程度の大きさで採取しました。
それを加工して2段重ねにします。
左の写真は採取した耳介軟骨の写真です。
こうして作成した2段の耳介軟骨を鼻尖に入れるわけですが、そのまま入れると、間隔が開いた鼻翼軟骨の間に落ち込んでしまい十分な効果が期待できません。

そこで、左右の鼻翼軟骨同士を縫合し、積み重ねた耳介軟骨移植片を吸収糸で、鼻翼軟骨先端に固定しました。
術後1か月後の写真でも耳介軟骨のずれはなく、鼻尖が下向きに伸びて、鼻筋ができているのが分かると思います。
耳介軟骨移植術の手術費用
項目 | 費用(税込み) |
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耳介軟骨移植術 | 330,000円 |
耳介軟骨移植術の手術内容
時間 | 30分程度、日帰りでの手術です |
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備考 | 局所麻酔をメインに行います。 |
抜糸 | 7日前後に予定しています。 |
腫れ | 2~3日をピークに2週間程度で引いていきます。 |
その他 | 吸入麻酔中に局所麻酔を行います(鼻のご手術の吸入麻酔には料金はかかりません) |
耳介軟骨移植術に関するよくある質問
Q.耳介軟骨を移植して2週間ですが、すぐに除去は可能ですか?
A.耳介軟骨の除去は可能です。移植から2週間程度であれば、まだ組織としっかり癒着していないため、比較的スムーズに取り出せるケースが多いです。
通常、左右の鼻腔の内側を切開し、皮下組織および鼻翼軟骨周囲を丁寧に剥離することで、移植された軟骨にアプローチします。
軟骨の位置がずれておらず、移動していなければ無理なく摘出できると考えられますが、剥離中に軟骨が損傷する可能性もゼロではありません。
ご希望であれば、できるだけ早く専門医にご相談ください。
Q.耳介軟骨移植後、数週間してから耳が腫れて痛くなりました。大丈夫でしょうか?
A.手術からしばらく経って耳介(ドナー部位)が腫れ、プニプニとした感触があり、触れると痛い場合、感染の可能性が考えられます。
特に、耳掃除やイヤホンの使用などで細菌が入り、炎症を起こすケースがあります。
吸収糸を使って縫合した部位で、糸が露出し感染の原因となっていることも少なくありません。
抗生剤の服用が必要になることもあり、糸の抜去が必要な場合もありますので、速やかに形成外科や美容外科で診察を受けてください。
Q.手術を受けたクリニックの医師が退職していて相談できません。どうしたら?
A.担当医が退職してしまった場合でも、他の形成外科や美容外科の医師に相談することは可能です。
手術歴や使用した材料についてできるだけ詳細を伝えることで、引き継ぎ診察がスムーズになります。
特に腫れや痛みなど炎症の兆候がある場合は早めの受診が重要です。診療情報提供書(紹介状)がない場合でも、受け入れてもらえるクリニックは多いので、まずは相談してみてください。