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【医師解説】豊胸しても授乳できる?妊娠中・母乳への影響と授乳前後の適切なタイミング

2026/08/07
更新のアイコン
2026/10/10

豊胸後授乳コラム

「将来子どもができたとき、ちゃんと母乳をあげられるだろうか」——豊胸手術を検討する方から、こうした質問をよくいただきます。妊娠・出産・育児は人生の大きなイベントだけに、慎重になるのは自然なことです。

結論からお伝えすると、現在主流の豊胸術(シリコンバッグ・脂肪注入・ヒアルロン酸注入)は、基本的に授乳への影響はほとんどないと考えられています。ただし、施術方法によって注意しておきたいポイントは異なります。この記事では、母乳への影響、注意が必要な施術、そして手術のタイミングについて解説します。

検討時期 メリット デメリット・注意点 おすすめな方
授乳前 若い時期から理想のバストで過ごせる 授乳によるサイズ変化で、卒乳後に下垂やしぼみが生じるリスクがある 数年以内に妊娠の予定がない方
卒乳後 皮膚が伸びているため定着率が良く、形が長期安定する 育児とのスケジュール調整やダウンタイムの確保が必要 すでに出産を終えた方、1年以内に妊娠希望の方

豊胸手術は「妊娠前」「卒乳後」いつ受けるべき?ライフプラン別の選び方

「いつか子どもが欲しいけれど、今すぐ豊胸したい」というご相談をよくいただきます。妊娠・授乳中(ダウンタイム中を含む)の手術は絶対に行えませんが、それ以外の時期であれば、ご自身のライフプランに合わせて選択可能です。

1. 妊娠前(20代〜近いうちに妊娠の予定がない方)におすすめ

メリット: 若い時期からコンプレックスを解消し、自信を持って過ごせる
数年以内に妊娠の予定がないのであれば、授乳前の豊胸は十分にメリットがあります。当院では将来の授乳に影響を与えない「大胸筋下法」や「乳腺下法」を適切に選択するため、手術をしたことで母乳が出なくなる心配はありません。
ただし、妊娠・授乳に伴うバストの急激なサイズ変化により、卒乳後に皮膚が伸びて下垂感(垂れ)が気になる可能性があります。

2. 卒乳後(すでに出産を終えた方、または1年以内に妊娠希望の方)におすすめ

メリット: 授乳後の「しぼみ・下垂」を根本的にリセットでき、形が長期安定する
近いうちに妊娠を計画している場合は、卒乳後まで手術を待つことを推奨します。授乳を終えたバストは皮膚が十分に伸びているため、脂肪注入の定着率が良く、大きめのシリコンバッグも自然に収まりやすいという大きなメリットがあります。授乳で削げてしまったデコルテのボリュームを取り戻し、美しい形を長期間維持することが可能です。

【医師からのアドバイス】

すでに豊胸手術を受けていて妊娠をご希望の方も、シリコンバッグや注入した脂肪が赤ちゃんに移行することは医学的にあり得ませんのでご安心ください。不安な点があれば、妊活前や妊娠中でもエコー検査等で現在のバストの状態を確認することが可能です。

基本的には、母乳や授乳への悪影響はほとんどない

母乳は乳腺で作られ、乳管を通って外に出ます。シリコンバッグ・脂肪注入・ヒアルロン酸注入といった代表的な豊胸術は、乳腺や乳管そのものには触れず、乳腺の下や大胸筋の下といった層に施術を行います。そのため、適切な手技で行われていれば、母乳の生成や成分に直接影響することはほとんどないと考えられています。

とはいえ、絶対にリスクがゼロというわけではありません。施術方法ごとの注意点を見ていきましょう。

将来の授乳を守りつつ、理想の形を作る「挿入層の使い分け」

当院のオーダーメイド豊胸:バストの状態に合わせた挿入層の選択と授乳への安全性

「豊胸をすると授乳できなくなるのでは?」と不安に思う方の多くは、「乳腺(母乳を作る組織)の中に異物を入れる」と誤解されています。

実際には、シリコンバッグは乳腺組織よりもさらに「奥」の層に挿入するため、母乳の生成や乳管(母乳の通り道)を直接傷つけることはありません。

当院では、患者様の元々のバストの大きさや皮下脂肪の厚さに応じて、主に以下の2つの層をケースバイケースで使い分けています。どちらの術式を選んでも、将来の授乳機能は温存されます。

挿入する層(術式) 授乳機能への影響 当院での適応ケースと特徴
乳腺下法

(当院で多いケース)
影響なし(安全) 【適応】ある程度元々のバスト(乳腺組織)に厚みがある方

乳腺と大胸筋の間にバッグを挿入します。乳腺の「裏側」に配置するため乳腺組織は傷つきません。筋肉を触らないため術後の痛みが少なく、筋肉の動きによるバッグの変形(アニメーション変形)が起きないのがメリットです。
大胸筋下法 影響なし(安全) 【適応】元々のバストが小さい方、皮下脂肪が極めて少ない方

大胸筋(胸の筋肉)の下にバッグを挿入します。乳腺組織から筋肉を一枚隔てた奥に配置するため、授乳への影響はありません。バストが小さくてもバッグの輪郭が浮き出にくく、自然な触り心地に仕上がります。

医師の視点

「将来の授乳」を優先するあまり、体型に合わない術式を無理に選ぶ必要はありません。当院では、ワキの下(腋窩)やアンダーバスト(乳房下溝)からアプローチすることで、乳腺組織にメスを入れずに安全な層へバッグを挿入します。授乳への安全性を確保した上で、最も自然で美しい仕上がりになる層をプロの目で見極めてご提案しています。

施術方法ごとの注意点

施術方法 授乳への影響
シリコンバッグ豊胸 基本的に影響は少ないが、バッグが大きすぎる場合や被膜拘縮が起きた場合、乳腺が圧迫されて乳腺炎のリスクがわずかに上がる可能性がある
脂肪注入豊胸 自分の脂肪を使うため比較的安心。ただし脂肪吸引・注入という手術自体のダウンタイムはある
ヒアルロン酸注入豊胸 乳腺・乳管に触れないよう適切に注入されていれば影響は少ないとされるが、注入箇所を誤ると乳腺・乳管周辺で炎症を起こす可能性がある
アクアフィリング豊胸 柔らかい充填剤という性質上、術後に想定と異なる場所へ移動することがあり、乳腺・乳管まで広がった場合は母乳に成分が混ざる可能性が指摘されている

シリコンバッグ豊胸と授乳成功率|大規模論文(39万人データ)が示す医学的根拠

「シリコンバッグを入れると母乳が出なくなるのでは?」という不安に対し、近年、信頼性の高い大規模な医学的データが発表されています。

米国美容外科学会誌(Aesthetic Surgery Journal 2023年7月号)に掲載された、計39万人以上のデータを統合・分析した大規模メタアナリシス(Chen et al.)において、豊胸インプラントを受けた女性の授乳結果が詳細に報告されました。

豊胸を受けた女性の「82.25%」が授乳に成功

インプラント豊胸を受けた女性9,965人のうち、8,197人(82.25%)が問題なく授乳に成功しています。豊胸をしていない女性の授乳成功率が88.45%(388,695人中343,793人)であることと比較しても、「豊胸をしても大半の女性が問題なく母乳育児を行えている」という事実が医学的に裏付けられています。

授乳成功率がわずかに下がる(オッズ比0.45)本当の理由

統計上、豊胸していない女性と比較すると授乳成功のオッズ比は0.45となり、完全母乳育児を途中で諦めたりミルク混合に切り替えたりする割合がやや高い傾向が示されています。

しかし、この論文で報告されたトラブルの内訳を見ると、主な理由は「解剖学的に母乳が作られない」ことではなく、「乳房の張りや痛み」「一時的な乳腺炎」「乳頭の知覚変化による吸啜・射乳反射のしづらさ」といった周辺トラブルに起因するものであることが分かっています。

論文から分かる「トラブルを防ぐための手術戦略」

この研究データからも分かる通り、将来の授乳を守るために重要なのは以下の2点です。

  1. 乳腺を過度に圧迫しない適切なバッグサイズを選ぶこと(無理なサイズアップは避ける)
  2. 乳管や乳頭神経を傷つけないアプローチ(ワキの下や乳房下溝からの切開)を選択すること

適切な層(乳腺下または大胸筋下)に正しい手技で挿入されていれば、母乳の産生自体が損なわれる心配はありません。当院では将来の授乳希望を前提としたサイズ設計と切開デザインを徹底しています。

【参考文献】
Chen et al., "Breastfeeding Outcome and Complications in Females With Breast Implants: A Systematic Review and Meta-Analysis", Aesthetic Surgery Journal, Volume 43, Issue 7, July 2023.

脂肪注入豊胸

自分自身の脂肪を使う施術のため、異物による乳腺への影響という意味では比較的安心とされています。妊娠・出産・授乳を経てバストがしぼんでしまった方が、卒乳後に脂肪注入を選ぶケースも多く見られます。授乳後は皮膚が伸びて脂肪を注入するスペースができているため、脂肪の定着にとって好ましい環境という指摘もあります。

ヒアルロン酸注入豊胸

注射で注入するため体への負担は少ない一方、同じ場所への繰り返しの注入や、注入位置・量を誤った場合には、乳腺・乳管周辺で炎症を起こし、授乳に影響が出る可能性が指摘されています。信頼できる医師のもとで適切な手技を受けることが重要です。

アクアフィリング豊胸について

アクアフィリングは、他の充填剤と比べて授乳への影響が懸念される施術です。柔らかい素材であるがゆえに、注入後に本来とは違う場所へ移動してしまうことがあり、これが乳腺・乳管まで広がると母乳に成分が混ざる可能性が指摘されています。また、安全性そのものについても確立されていない部分があり、除去を希望される方の相談も少なくありません。アクアフィリングを検討している場合は、この点を十分理解したうえで判断することをおすすめします。

当院にも、アクアフィリング注入後の不調や、将来の授乳・健康面への不安から、除去のご相談・修正手術で来院される方がいらっしゃいます。すでにアクアフィリングを受けていて不安がある方は、一人で抱え込まず、一度ご相談ください。

【専門医の視点】過去にアクアフィリングや他院で豊胸を受けられた方へ

アクアフィリングは組織への浸潤や移動が報告されており、将来的に授乳を希望される場合は特に事前のアセスメントが重要です。当院では超音波(エコー)検査などを用いて現在のバッグや注入物の状態を診断し、必要に応じた安全な除去や入れ替えのご相談にも対応しています。

豊胸後に妊娠がわかったら?胎児への影響と妊娠中のバストケア

「豊胸手術を受けたあとに妊娠しても、赤ちゃんに問題はない?」「胸はどう変化する?」といったご相談も多く寄せられます。

結論から申し上げますと、豊胸手術の既往が妊娠の経過や胎児の発育に悪影響を及ぼすことは医学的にありません。シリコンや注入した脂肪が胎盤を通じて赤ちゃんに移行する心配も一切ありませんので、安心してマタニティライフをお過ごしください。

ただし、妊娠期特有のホルモンバランスの変化に伴い、バストには以下のような変化が起こるため、日頃のセルフケアが大切になります。

1. 妊娠中の急激なバストアップと皮膚のつっぱり

妊娠初期から中盤にかけて、母乳を作る準備のために女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)が活発に分泌され、乳腺組織が急速に発達します。

シリコンバッグが入っている場合、元々のバッグの体積に加えて乳腺組織が膨らむため、普段以上に胸の張りやつっぱり感を強く感じることがあります(人によっては2〜3カップ程度サイズアップします)。

マタニティブラへの切り替え

ワイヤー入りの下着で乳腺を強く締め付けると、血流が滞り、痛みや乳腺炎の原因になります。胸の張りを感じ始めたら、伸縮性がありバスト全体を優しくホールドするノンワイヤーのマタニティブラ(授乳兼用ブラ)へ早めに切り替えましょう。

妊娠線・保湿ケア

皮膚が短期間で急激に引き伸ばされるため、皮膚の乾燥や妊娠線(ストレッチマーク)ができやすくなります。デコルテからバスト下部・脇周辺にかけて、低刺激の保湿クリームやオイルで毎日優しく保湿ケアを行いましょう。

2. 妊娠中の過ごし方とうつ伏せ寝の回避

妊娠中はバスト内部の圧力が高まっています。うつ伏せで寝るなど胸を強く圧迫する姿勢は避け、横向き(シムス位など)でリラックスして過ごすことをおすすめします。

3. 産婦人科を受診する際のポイント

妊娠が確定し産婦人科での健診が始まったら、初診時の問診票または医師・助産師による問診の際に、豊胸手術を受けていること(術式・切開位置・受けた時期)を伝えておきましょう。

妊娠中や産後に胸の張り・しこりが生じた際、豊胸の既往を事前に共有しておくことで、超音波(エコー)検査での正確な鑑別や、産後のスムーズな母乳指導につながります。

授乳トラブルを防ぐための「切開部位」の選び方

母乳の通り道(乳管)を傷つけないアプローチ

挿入層だけでなく「どこを切開するか」も授乳に影響する重要なポイントです。

当院では将来の授乳を希望される方には、乳輪周囲を切開する方法は原則として推奨していません。乳輪周囲からのアプローチは、乳腺組織を縦に割って進む必要があるため、微細な乳管や乳頭の知覚神経を傷つけ、母乳の出や射乳反射に影響を与えるリスクがあるためです。

授乳機能を100%守るためには、乳腺組織を完全に迂回できる「腋窩(ワキ)切開」または「乳房下溝(アンダーバスト)切開」を選択することが医学的な正解となります。

【見分け方】授乳期の胸の痛みは「乳腺炎」?それとも「豊胸のトラブル」?

授乳期に胸の痛みやしこり、張りを感じた際、「豊胸バッグが破れたのでは?」「被膜拘縮が起きたのでは?」と不安になる方が少なくありません。原因が乳腺炎か豊胸関連かを見極める主なポイントは以下の通りです。

乳腺炎と豊胸の合併症の見分け方チェック

1. 発熱の有無

  • 乳腺炎:38℃以上の高熱が出ることが多い(悪寒や関節痛を伴う)
  • 豊胸の合併症(被膜拘縮・破損など):通常は発熱しない(感染時を除く)

2. 皮膚の見た目

  • 乳腺炎:局所的な強い赤み(発赤)、熱感、皮膚のピーンとした腫れ
  • 豊胸の合併症:外見上の赤みは少なく、左右差や輪郭の歪みが主

3. 痛みの性質

  • 乳腺炎:ズキズキとした拍動性の激痛、触れるだけで痛む
  • 豊胸の合併症:締め付けられるような圧迫感、鈍い重だるさ

4. しこりの状態

  • 乳腺炎:授乳や搾乳の後に小さくなる、または位置が変化する
  • 豊胸の合併症:授乳後も硬さや位置が変わらない

5. 初動対応

  • 乳腺炎:速やかに産婦人科・母乳外来へ(必要に応じて抗生剤投与)
  • 豊胸の合併症:手術を受けた美容外科クリニックへ相談

受診時の注意

※発熱や強い赤みがある場合は、まず母乳のうっ滞や細菌感染による乳腺炎を疑い、産婦人科または母乳外来を受診してください。

豊胸後の授乳で「胸が痛い・強く張る」原因と正しいセルフケア

豊胸手術後に授乳を開始すると、通常よりも胸の張りや痛み(緊満痛)を強く感じることがあります。これは、挿入されたバッグがすでにバスト内のスペースを占有しているところに、母乳を作るために乳腺が急激に発達し、内圧が高まるためです。

特に産後3〜4日の「生理的緊満期(おっぱいが作られ始めるピーク)」には強い張りを感じやすくなります。痛みを和らげ、乳腺炎を防ぐためには、適切なセルフケアと「やってはいけないNG行動」を知っておくことが大切です。

授乳期の推奨セルフケアとNG行動

項目 具体的な内容・理由
推奨されるケア

こまめな授乳(頻回授乳): 母乳を溜め込まず、左右バランスよく吸ってもらうことで内圧を逃がします。

授乳後の軽い冷却: 強い熱感や痛みがある場合、冷水で絞ったタオル等で軽く冷やすと痛みが落ち着きます。

ノンワイヤーブラの着用: 乳腺を締め付けると血流が滞り乳腺炎の原因になるため、伸縮性のある授乳用ブラを使用します。

避けるべきNG行動

自己流の強いマッサージ: 痛いからといって強く揉むと、乳腺組織を傷つけ炎症を悪化させる危険があります。

長時間の過度な冷却: 氷などで冷やしすぎると血流が悪くなり、母乳の分泌自体が低下してしまいます。

うつ伏せ寝: バスト(特にシリコンバッグ)を強く圧迫する姿勢は避け、横向き(シムス位)で休みましょう。

乳頭の感覚変化による「吸われる痛み(吸着痛)」

過去に他院で「乳輪周囲切開」を受けたことがある場合、乳頭の知覚神経が影響を受け、赤ちゃんが吸い付く刺激を過敏に感じて強い痛みが出ることがあります。逆に感覚が鈍くなっていると、赤ちゃんの「浅吸い」に気づけず乳頭が切れてしまうこともあります。

※当院では、将来の授乳機能を守るため、乳管や神経を傷つけるリスクのある乳輪周囲切開は原則行わず、ワキの下(腋窩)やアンダーバスト(乳房下溝)からのアプローチを推奨しています。

産婦人科・小児科・助産師には必ず「豊胸の事実」を伝えましょう

妊娠が判明して産婦人科を受診する際や、産後に助産師のケアを受ける際、「豊胸手術を受けていること」を伝えるのに抵抗を感じる方は少なくありません。しかし、母子の安全と適切なケアのために、医療スタッフへの事前申告は非常に重要です。

  • 乳腺炎トラブル時の迅速な対応のため
    授乳中に胸が赤く腫れたり高熱が出たりした場合、豊胸の既往を知っていれば、医師は「通常の乳腺炎」か「バッグ周囲の感染」かを迅速に鑑別し、適切な抗生剤の処方など的確な処置を行えます。

  • 乳がん検診(エコー検査)での正確な診断のため
    妊娠中や授乳中に胸のしこりが見つかった場合、豊胸手術(特に脂肪注入による石灰化など)の既往があると超音波検査での見え方が異なります。事前情報があることで、誤診を防ぐことができます。

  • 助産師による安全な乳房マッサージのため
    助産師は豊胸後の乳房ケアにも慣れていますが、バッグの挿入層(大胸筋下か乳腺下か)によってマッサージの圧を変える必要があります。過度な圧迫によるバッグ破損やトラブルを防ぐためにも、必ず申告してください。

産婦人科・母乳外来受診時に役立つ「事前申告チェックシート」

授乳期に助産師による乳房ケアや母乳マッサージを受ける際は、事前に以下の情報を正確に伝えておくと、強い圧迫によるバッグへの負担やトラブルを未然に防げます。

受診時に伝えること・確認チェックシート

□ 受けている豊胸術の種類

  • シリコンバッグ/脂肪注入/ヒアルロン酸

□ バッグの挿入層

  • 大胸筋下/乳腺下/筋膜下

□ 切開部位

  • ワキの下(腋窩)/アンダーバスト(乳房下溝)/乳輪周囲

□ 手術を受けた時期

  • 〇年前(組織の安定度を伝えるため)

医師からのアドバイス
多くの助産師さんは豊胸後の乳房マッサージにも慣れていますが、術式(特に乳腺下か大胸筋下か)によって乳腺へのアプローチ圧を変える必要があります。当院で手術を受けられた方には、術式や挿入層を記載した情報をお伝えしていますので、検診時にお気軽にお申し出ください。

シリコンや麻酔が母乳に混ざる心配はない?母乳の「質」と「分泌量」

「シリコンバッグの成分が母乳に溶け出さないか」「赤ちゃんが飲んでも本当に安全なのか」というご質問をよくいただきますが、医学的に母乳の成分そのものが汚染されることはありません。

【医学的根拠】母乳中のシリコン濃度は「粉ミルク」よりもはるかに微量

世界的な形成外科学会誌(Plastic and Reconstructive Surgery)に掲載されたSempleらの臨床研究において、シリコンバッグ豊胸を受けた女性と、豊胸を受けていない女性の母乳中シリコン濃度が厳密に測定・比較されました。

その結果、母乳中のシリコン濃度は両グループ間で統計的な有意差が認められず、実質的に同等であることが証明されています。

さらに興味深い点として、一般的な市販の育児用粉ミルク(約4,400ng/ml)や市販の牛乳(約700ng/ml)に含まれるケイ素(自然界に存在するシリコン成分)と比較しても、豊胸術を受けた女性の母乳中シリコン濃度(約55ng/ml)はその数十分の一から数百分の一程度と極めて微量でした。

現代のシリコンバッグは強固な多層バリアシェルに包まれた高凝集性(コヒーシブ)ゲルであり、乳腺組織とは異なる層に配置されます。バッグから母乳へ有害な成分が移行する心配はなく、生まれた赤ちゃんへ安心して母乳を与えていただけます。

【参考文献】Semple JL, et al. "Breast-feeding and silicone implants." Plastic and Reconstructive Surg

母乳の分泌量

  • 母乳を作る「乳腺葉」や分泌を促すホルモン(プロラクチン・オキシトシン)の機能は保持されます。ただし、過去の手術で乳輪切開を行っていた場合や、バッグが過度に大きくて乳腺を強く圧迫している場合は、一時的に乳管の通りが悪くなり分泌がスムーズにいかないことがあります。この場合は、授乳姿勢の工夫や専門の助産師による軽めの開通マッサージが効果的です。

卒乳後の「しぼみ」「下垂」が気になった場合のバストケア・修正選択肢

授乳期間が終わると、大きく発達していた乳腺組織が急激に縮小するため、皮膚が余って「以前よりバストが垂れた」「上胸がしぼんでデコルテが削げた」と感じる方が多くいらっしゃいます。

バッグはそのままで上胸に脂肪注入

  • デコルテの削げ感をピンポイントでふっくら補正

バッグのサイズアップや入れ替え

  • 伸びた皮膚に合わせてハリを取り戻す

乳房吊り上げ術(マストペクシー)

  • 皮膚のたるみを取り除き、バストトップの位置を上げる

授乳を経験した後のバストは皮膚が十分に伸びているため、脂肪注入などの定着率が高くなりやすいという側面もあります。卒乳後、半年ほど経過してバストの形が落ち着いた段階でご相談いただければ、現在の状態に合わせた最適なリフレッシュプランをご提案可能です。

【時期別】豊胸手術と妊娠・授乳のタイムスケジュール

時期 目安・注意点
豊胸術を受けた後、妊娠するまでの期間 術後の組織の回復とダウンタイム(傷口の安定)を考慮し、施術後最低でも3ヶ月〜半年程度は期間を空けることが推奨されます。
出産・卒乳後、豊胸術を受けられる時期 授乳中は乳腺が発達・拡大しており、また母乳の分泌が残っている状態では感染や血腫のリスクが高まります。完全に卒乳(断乳)してから半年以上経過し、乳腺の状態が元に戻ってから施術を行うのが安全です。

まとめ

  • シリコンバッグ・脂肪注入・ヒアルロン酸注入は、基本的に母乳や授乳への悪影響はほとんどないとされる
  • シリコンバッグはサイズや被膜拘縮によって乳腺炎のリスクがわずかに上がる可能性がある
  • アクアフィリングは他の施術と比べて注意が必要
  • 授乳前後どちらに手術を受けるかは、それぞれメリット・デメリットがあるため、ライフプランに合わせて検討を
  • 妊娠中・授乳中の施術は避けるのが一般的

将来の妊娠・授乳を見据えている方は、カウンセリングの際にその旨を医師に伝えておくと、より適した施術方法やタイミングを提案してもらいやすくなります。

大阪で豊胸をお考えの方はコムロ美容外科にご相談ください。

豊胸後の妊娠・授乳に関するよくある質問

Q. 豊胸手術後に妊娠した場合、バッグの抜去や特別な処置は必要ですか?
A. 妊娠・出産のためにバッグを抜去する必要は基本的にありません。ただし、乳房の拡大に伴いハリ感や張りが強く出ることがあるため、気になる場合は検診をおすすめします。

Q. 豊胸していることを産婦人科の医師や助産師に伝えるべきですか?
A. はい、乳房マッサージや乳腺炎の診察時に適切な対応を受けていただくため、問診時に伝えておくことを推奨します。

Q. 豊胸手術後にレントゲンやマンモグラフィ検診は受けられますか?
A. 脂肪注入やシリコンバッグ豊胸を行っていても検診を受けることは可能ですが、マンモグラフィ(圧迫検査)ではバッグ破損のリスクや画像上の影(石灰化)が問題になる場合があります。事前受診時に豊胸を行っている旨を技師に伝えるか、エコー(超音波)検診を選択することをおすすめします。

Q. シリコンバッグが入っていると、乳腺炎になったときに気づきにくいですか?
A. 乳腺炎は乳腺組織の炎症であり、バッグ自体が直接の原因になることは稀ですが、張りや痛みの区別がつきにくいことがあります。違和感があれば無理に揉んだりせず、すぐに受診してください。

Q. 「乳腺下法」で豊胸した場合、授乳中にバッグが乳腺を圧迫して痛くなりませんか?
A. 授乳期は乳腺自体が発達して膨らむため、普段より胸の張りや圧迫感を感じやすくなるのは事実です。しかし、適切なサイズのバッグが正しい層(乳腺の裏側)に収まっていれば、それが直接の原因となって重篤な乳腺炎を引き起こすことは稀です。張りが強い場合は、温めすぎず、優しく圧を逃がすような授乳姿勢を工夫することが大切です。

Q. 豊胸後に母乳マッサージ(助産師によるケア)を受けても大丈夫ですか?
A. 基本的に問題ありませんが、必ず事前に「いつ・どの術式で豊胸手術を受けたか」を助産師・医師にお伝えください。無理に強い圧迫を加える手技は避け、乳頭・乳輪周囲を中心とした優しい開通マッサージを行ってもらうことが推奨されます。

Q. 豊胸による胸の張りと、授乳期の「乳腺炎」の張りはどう見分けますか?
A. 豊胸後しばらく経ってからの発熱、局所の強い熱感・発赤、インフルエンザ様の関節痛を伴う場合は、バッグの異常ではなく「乳腺炎(うっ滞性・化膿性)」の可能性が高いです。その際は自己判断で揉まず、速やかに産婦人科またはクリニックへご相談ください。エコー検査にて状態を即座に鑑別可能です。

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この記事の監修者
医療法人秀晄会コムロ美容外科 院長 池内 秀行
名前
池内 秀行
肩書
医療法人秀晄会 コムロ美容外科(大阪・心斎橋)院長
保有資格
  • 日本麻酔科学会会員
  • 麻酔科標榜医
  • 日本美容外科学会(JSAS)会員
  • 美容外科(JSAS)専門医
  • アラガンボトックスビスタ認定医
  • アラガンジュビダーム認定医
経歴
  • 1996年 神戸大学医学部卒業・同大麻酔科入局
  • 2000年 大手美容外科 入職
  • 2001年 コムロ美容外科入職
  • 2006年 心斎橋コムロ美容外科クリニック 院長就任

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