子供の逆さまつ毛改善(二重埋没法)
コムロ美容外科ではお子様(幼児・小児)の逆さまつ毛改善を日帰り全身麻酔を使用し埋没法で行っております。
こどもの逆さまつ毛とは?
小児逆さまつ毛とは内反しているまつ毛が眼球に触れ、異物感や、ごろごろ感、ひどい場合には角膜を傷つけてしまう状態を言います。 小学生までにかなりの割合で自然治癒するといわれているため、その年齢を越えるまでは手術を避ける傾向にあり、角膜障害の症状が出ていても、手術可能な病院になかなか紹介してもらえていないのが現状です。 角膜に傷がついたり、視力低下が起こっているにも関わらず、外科的治療を受けられないお子様をたくさん診てきました。
小児さかさまつ毛の症状と診断
まつ毛が角膜に触れて刺激することで、涙が出る、目が染みる、目やにが多いといった症状が起こります(角膜刺激症状)。角膜に傷がつくと目に入った光が乱反射して、まぶしく感じることもあります。常に目が痛いと感じる場合、かなり症状が進行した状態だと考えられます。逆さまつ毛による角膜障害の可能性がある場合には、症状の進行が無いか調べるために、かかりつけの眼科で定期的な診察を受けられることをお勧めします。
逆さまつ毛手術の必要性
生まれてすぐの赤ちゃんの瞼は、ほとんどの場合逆さまつ毛ですが、瞼の成長に従って自然と改善することが多く、小学校入学までは経過観察になることが多いです。しかしながら、まつ毛が眼球を刺激することで、お子様が頻繁に瞼をこすったりすることで角膜に傷をつけてしまい、視力に影響が残るケースがあります。
大人であれば局所麻酔でできる逆さまつ毛手術も、幼児、小児の場合には安全のために全身麻酔が必要になります。
小児逆さまつ毛の手術するにあたっての問題点
小児さかさまつ毛手術を行うにあたっての問題点としては以下の通りです。
- 小学生以下の場合、精神年齢が低い、恐怖心のせいで、手術中に静止できず、協力してくれないことがある。そのため局所麻酔での手術は困難。 A 小さなお子様でも全身麻酔中は意識がなく痛みを感じないので手術が可能です。手術中の記憶や、手術後の痛みほとんどないため、精神的な負担が少なく済みます。
- 全身麻酔をするにあたって、小さなお子様の点滴確保が困難 Aこどもの全身麻酔は、緩徐導入と言って、マスクからガス麻酔を吸ってもらいながら全身麻酔をかけていきます。鎮静剤や、鎮痛剤は使わないので、最初に点滴を取る必要がありません。
- 二重ができるなど、美容的な効果もあることから、こどもの逆さまつ毛手術を受けさせることに対する周囲の偏見 A小学生未満でも逆さまつ毛が原因で、角膜に傷が入ったり、視力の半永久的な低下の残るケースがあります。眼窩での診察で逆さまつ毛症状が強ければ、外科的治療をお勧めします。4~5歳になると、体重もかなり増え全身麻酔のリスクも減少し、埋没法でも緩みにくくなります。逆さまつ毛手術の埋没法は、できる二重はあまり幅が広くないので目立ちません。
当院のさかさまつ毛手術の特徴
- 小児逆さまつ毛は、日帰り全身麻酔で逆さまつ毛手術を行っています。手術終了後、平均1時間程度で皆様帰宅されています。一方、大学病院やこども病院で行われている逆さまつ毛手術は、同じ全身麻酔ながら2泊3日入院が必要で、親の付き添いが必要になります。5~6歳以上は、部分切開法などを使って緩みにくい逆さまつ毛手術が可能です。
- 上眼瞼は、埋没法での逆さまつ毛治療が可能です。上眼瞼の逆さまつ毛手術は、ホッツ変法というまつ毛の生え際を切開する手術が行われています。瞼が分厚く癖付け困難であれば、部分切開や全切開法で行うこともありますが、標準的な瞼であれば埋没法での手術が可能です。(下眼瞼のさかさまつ毛は、埋没法が無く、切開法が必要になります。)
- 目の開きの改善と、狭いながらも二重ができます。さかさまつ毛症状が強いお子様は、目が小さく見える一重のことが多く、角膜の違和感から目を大きく開けることができません。 埋没法を行い二重ができることで狭い二幅であっても、まつ毛の生え際が見えるようになり、皮膚のかぶさりがなくなることでぱっちりとした印象になります。
大人の二重手術と小児の逆さまつ毛手術の違い
大人
希望の二重幅、形を優先、局所麻酔で可能
小児
逆さまつ毛が改善する末広型で、まつ毛が跳ね上がる一番広い幅を選択基本的には全身麻酔が必要年齢によって二重幅が大体決まっていることがわかりました。小児埋没法の二重幅は、3-4歳で4~5㎜位、4歳から6歳で5~6㎜位となっています。
他のさかさまつ毛手術の紹介
MCマイクロカット法
埋没法+眼窩脂肪の脱脂になります。お子様でも腫れぼったい瞼の方は少なくありません。腫れぼったい瞼の方に埋没法行う際、癖が緩みにくくなる効果があります。
ホッツ変法
ホッツ変法とは、下眼瞼の逆さまつ毛の治療法になります。下眼瞼のまつ毛生え際を切開し、まつ毛の生え際に糸をかけてまつ毛の生え際を外側の向ける手術になります。
目頭切開
大人の目頭切開は、目と目の間隔を近寄せたり、二重の形を平行型に近づける目的に行いますが、こどもの逆さまつ毛に対しては、特にW法に、目頭側の改善効果があります。 目頭側のたるみ切除することになるので、まつ毛の生え際を外反させます。
必要に応じて上眼瞼や下眼瞼の逆さまつ毛を併せて行います。
部分切開法、全切開法
瞼が厚く埋没法では癖がつかないもしくは緩んだ方、眼瞼下垂がある方が適応です。 3~4歳までは、切開法で行っても癖が癒着せず、緩む可能性が高いため4歳以上が目安です。あくまで広い二重をつくるのではなく、緩みにくい二重を作成するために選択することがあります。
子供の逆さまつ毛改善 二重埋没法手術の流れ
- 1. 診察、カウンセリング
- 現在のまぶたや逆まつげの状態、希望の二重幅を確認します。幼児の場合、本人の意思確認ができないため、保護者と相談の上、二重の幅を決定します。
逆まつげが重症の場合には、二重ができても、逆まつげが十分に改善しない場合があります。 - 2. 麻酔
-
- 緩徐導入と言って、マスクから吸入麻酔をお子様に吸ってもらい全身麻酔をかけていきます。吸入麻酔薬には独特の化学薬品の匂いがありますが、数分で寝てしまいます。
- ラリンジアルマスクを口から挿入します。筋弛緩薬は使わないため自発呼吸が残っていますが、本人の意識はなく痛みを感じることはありません。麻酔中は、体内酸素濃度モニターや、呼吸モニターを使用し、異常がないか常時監視しています。
- 3. 手術
- 成人の埋没法と同じで、局所麻酔も併用し手術を行います。
手術時間は左右両目で20分程度です。局所麻酔を使うため、術後痛はほとんどありません。 - 4. 抜管
- 手術が終わる数分前からガス麻酔の量を減らしていき、手術終了後5分位で目を覚ましますが、その直前にラリンゲルマスクを抜去します。
- 5. リカバリールーム
- 麻酔の効果が完全に切れて飲食ができるようになるまで、リカバリールームで休んでもらいます。
- 6. 帰宅
- 歩行や意識覚醒に問題なければ、帰宅していただきます。手術後の飲食については制限ありません。
- 適応年齢
- 乳児は全身麻酔前の絶食が難しいため、基本的に手術を行いません。ラリンゲルマスクのサイズの関係で、体重10kg以上を目安としています。
小児の術前の不安とストレスについて、その対策
全身麻酔に際して、こどもは手術室というなれない環境に入れられ、化学薬品臭のある麻酔薬をマスクから吸入させられ、手術を受けさせられるというのは非常なストレスになります。
すこしでもその負担を軽くする方法として親同伴導入 parental presence of induction (PPI) を行っています。お母さんに抱っこしてもらいながらマスクを当てて全身麻酔を行います。
手術終了時も完全に麻酔が切れる前に抜管し、リカバリールームにお母さんと移動していただきます。
しかし、患児に与える悪影響がゼロになるわけではないため、安易に二重の幅変更や埋没糸の抜去などで全身麻酔を繰り返すのは避けたほうがいいと思われます。
ミダゾラムという静脈麻酔薬を使って全身麻酔の恐怖を和らげるという方法もありますが、経過観察のため帰宅が大幅に遅くなる可能性があるため、今後の検討課題としています。
全身麻酔を避けたほうが良いケースとは
- 1. 体重10kgを大幅に下回る乳児の場合
- 全身麻酔にあたっては、数時間目からの絶飲食が必要になります。麻酔がかかった際の嘔吐や誤嚥を防ぐためですが、体重10kgを大幅に下回る乳児には脱水症の危険性があり、ミルクや母乳の場合には嘔吐の危険性が高くなります。
そのため離乳ができていない乳児に関しては、全身麻酔での埋没法を行うことはできません。 - 2. ご家族に全身麻酔で事故が起きた方がおられる場合(悪性高熱症)
- ガス麻酔薬を使用した際、体温が40度以上に上昇し、循環不全、腎不全などの多臓器不全を起こし最悪の場合死亡につながる病気に悪性高熱症という病気があります。遺伝性があるといわれていて、予防のために問診を行わさせていただいています。
ガス麻酔薬を使わない全身麻酔であれば、悪性高熱症を回避でき麻酔や手術は可能ですが、実際に行うかどうかは個別検討としています。
症例写真 子供の逆さまつ毛改善(二重埋没法)
手術前 目を閉じた状態
手術前 目を開けた状態
手術後 目を閉じた状態
手術1時間後 目を開けた状態
子供の逆さまつ毛改善 二重埋没法手術 よくあるご質問とご回答
- 子供の逆さまつげはどんな症状がありますか?
- まつげが絶えず刺激するため、まばたきの回数や、瞼をこすったりする事が多くなります。
ただし症状がひどい場合には、角膜を傷つけ視力に影響が出る可能性があります。
まだ、幼児くらいでまだしゃべれないお子様にそのような症状があれば、眼科を受診して診察を受けましょう。 - 手術を行うタイミングは?
- 通常、保険診療での上眼瞼の逆さまつげの手術は、小学校入学まで経過観察を行い、改善がなければ手術に踏み切ることが多いようです。しかしその場合、数日の入院や、親御様の付き添いが必要なため、負担が大きくなります。
しかしながら埋没法の場合、切開法と違い瞼の成長に影響を与える可能性は少ないため、幼児以降での手術が可能です。全身麻酔もしくは、局所麻酔のみでも日帰り手術が可能です。 - 全身麻酔のリスクは?
- 全身麻酔の事故のほとんどは、呼吸障害が原因とされています。
子供の場合、麻酔を終了後数時間たってからでも、全身麻酔の際使用した薬剤の影響が出る可能性があります。
当院ではそういった、術後の呼吸抑制の原因となる筋弛緩薬や鎮静剤を使わずに、全身麻酔を行います。埋没法であれば、手術後最短30分程度で帰宅することができます。 - 小児の麻酔が行えない状態とは?
- 風邪や、喘息症状があると、気管や声帯が敏感になり、腫れやすくなったり痙攣をおこすことで、換気がしにくくなったり、できなくなったりします。
術前の診察で、風邪症状による熱発が38度以上、1か月以内の喘息発作がある際には必ず申し出てください。場合によっては、手術の中止や延期をする場合があります。 - 4歳の女の子ですが、逆さまつ毛で平行型は可能ですか?
- 小児は瞼のたるみが少なく、大人のような広い二重はできません。日本人の場合、蒙古ひだがあるため、目頭切開をせずに、埋没法だけで平行型をつくるのは困難です。
- 小児も埋没法の痛みはどのくらいですか?
- 小児逆さまつ毛手術は、全身麻酔+局所麻酔で行います。
局所麻酔は、90分程度で切れますが、上下眼瞼手術や目頭切開は、術後の痛みは少なく、ボルタレン、アセトアミノフェンなど、一般的な解熱鎮痛剤などで抑えることができます。小児では、術後鎮痛に鎮痛用の座薬をお渡ししていますが、ほとんど使っておられません。 - 全身麻酔から覚めるときはどんな状況ですか?
- 手術が終わると全身麻酔のガスを切り、酸素を吸ってもらいます。呼吸によって麻酔ガスが徐々に抜けていきます。体内の麻酔ガスが一定の濃度以下になると体動が出始め、興奮期といて意思とは関係なく暴れてしまうことがあります。
しかし完全に麻酔から覚めると収まるので心配はありません。また、覚醒後に痛みも感じることの無いように、座薬の鎮痛剤を前もって使います。 - 子供の全身麻酔は安全ですか?
- 子供に対する短時間の全身麻酔については高い安全性があると言われています。術前の診察で、喘息や、風邪、熱発が無いかの診察を行い、全身麻酔の可否を判断しています。手術中は、呼気中Co2モニター、心電図、体内酸素濃度モニター(SPO2モニター)を使い、生体情報を監視しながら行っています。
- いつから飲食は可能になりますか?
- 麻酔から覚めてきて10分くらいすると、のどの渇きを訴えることが多いです。意識がはっきりしているか確認したうえで、水分摂取していただきます。
病院を出られた後は、食事を摂っていただいても大丈夫ですが、吐き気が出やすいので、消化が良いものを少量からでお願いします。
手術内容
手術時間 | 60分程度、日帰りでの手術です。 |
---|---|
手術費用 | (両目)¥180,000(埋没法の場合のみ・全身麻酔代・物品代すべて含む) 他の手術費用一覧はこちら |